体外受精に限らず、自閉症の子供が生まれる可能性はゼロではないとされています


体外受精では、早産や多胎妊娠などのリスクが生じる可能性は否定できないとされています。
そして自閉症に関しても、発症リスクはゼロではないのが現実です。

ただこれは体外受精に限らず、自然妊娠であっても同じことが言えるでしょう。
体外受精における自閉症リスクは、単一胚移植により大幅に軽減される可能性があるとも考えられているので、体外受精の方法についても検討してみましょう。

自閉症発症の可能性を示唆した研究データはありますが、因果関係はないとされています

体外受精などで誕生した子供は、自然妊娠で誕生した子供に比べると、自閉症の発症率はリスクは約2倍となると発表されています。
ただしこのデータは、母親側の年齢が35歳未満の場合のみ該当し、体外受精と自閉症の因果関係を科学的に裏付けるべきものではないともされています。

つまり遺伝子レベルでの科学的な根拠は実際の所まだ解明されておらず、あくまでデータから導きだされた結果であるということです。

体外受精では単一胚移植を行うと、自閉症発症リスクを軽減させる可能性があるとされています


体外受精は、自然妊娠に比べると自閉症の発症率が高まると聞くと不安になってしまうものです。
しかしこの研究では体外受精であっても、単一胚移植を行うことで自閉症の発症リスクが大幅に低くなる可能性も示唆されています。

体外受精では、体内から採取した卵子と精子を体外で受精させた後、受精卵を培養してから体内に移植する、胚移植を行います。
その際に受精卵がきちんと生育できるか分からないので、複数受精させる場合もあり、着床・妊娠の確率を高めるために複数個の胚を移植するケースもあるとされています。

ただこの複数胚の移植は、単一胚移植に比べると多胎妊娠など、体外受精におけるリスクを高める可能性があるとも言われているのです。
多胎妊娠以外にも、先述した通り自閉症発症のリスクを軽減させるためには、単一胚移植を行うのがよいと考えられています。
体外受精といっても、クリニックによって方針が違うこともあるでしょう。

患者さんにとっても妊娠確率を高めることは大事ですが、自閉症の発症リスクなどそれと同時に起こりうるリスクの説明もきちんと行い、リスク回避に関しても相談にのってもらえるクリニック選びが大事です。

自閉症の発症は環境的要因などもあり、はっきりとは解明されていません

自閉症の主な原因としては、遺伝的欠陥や脳の損傷、脳内血管トラブルにより脳細胞が破壊されることで起こる脳疾患などによる、先天的な脳機能障害だと考えられています。

しかし必ずしも先天的な要因だけではなく、妊娠初期の喫煙や母体の栄養不足、抗てんかん薬や抗うつ薬などの薬剤の投与といった妊娠中の環境にも関係していると言われています。
また両親の年齢が高齢である、妊娠35週未満での出産(早産)、切迫流産や流産歴なども自閉症発症のリスクの可能性の一つと考えられています。

そのため、自閉症発症のはっきりとした原因は未だに解明されていません。
先天的な脳機能障害に、遺伝的要因やいくつかの環境的要因が組み合わさることで発症するのではないかとされています。

体外受精での発症リスクも必ずしもゼロとは言えませんが、それだけが即原因に結びつくわけではないとされています。
体外受精のリスクはきちんと把握しておく必要はありますが、あまり神経質にならず、できる限りリスクを回避できる方法で進められるように担当医と相談してみましょう。

(まとめ)体外受精で自閉症の子どもが誕生するリスクはあるの?

1.体外受精に限らず、自閉症の子が生まれる可能性はゼロではないとされています

体外受精では自閉症発症の可能性はゼロではなく、リスクがあるとされていますが、自然妊娠でも同様のことが言えます。

ただ自閉症発症のリスクを軽減させる方法もあると考えられています。

2.自閉症発症の可能性を示唆した研究データはありますが、因果関係はないとされています

アメリカの大学の研究によると、自閉症発症のリスクは体外受精の場合は自然妊娠の約2倍だという結果が報告されています。

ただ科学的に解明されたというわけではなく、実際には体外受精と自閉症発症の因果関係ははっきりとは分かっていません。

3.体外受精では単一胚移植を行うと、自閉症発症リスクを軽減させる可能性があるとされています

体外受精では、1回につき一つの受精卵のみを体内に戻す単一胚移植が行われています。

単一胚移植は、自閉症発症のリスクを軽減させる可能性があると研究では発表されています。

4.自閉症の発症は環境的要因などもあり、はっきりとは解明されていません

自閉症発症の原因は、はっきりとは解明されていません。

主な原因としては先天的な脳機能障害だと考えられていますが、妊娠中の環境など複数の要因が組み合わさって発症するとされています。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師