体外受精とビールの関係は医学的根拠はありませんが、控えるべきという考えが一般的です


体外受精は女性のホルモンバランスや卵子や精子の状態などさまざまな要素が影響を与えます。
ビール等のアルコールの摂取が体外受精の際に悪影響を及ぼすという医学的な根拠はありませんが、悪影響を与えないから大丈夫という根拠もありません。

一般的には体外受精を行っている場合は、ビールなどアルコールの摂取は控えるべきだとされています。

体外受精時、ビールの摂取は控えることをおすすめします

アメリカではビールやワインなどアルコール飲料の摂取と妊娠率が関係があるかを調べたデータがあり、それによると飲酒率が高いほど、妊娠率が下がるという傾向が数値として出ています。

しかしビールなどアルコール飲料と不妊の関係については、今のところ医学的な根拠はなく、体外受精の移植の結果などに悪影響を与えるかどうかははっきりとは分かっていません。

言い換えると、ビールなどのアルコール飲料を摂取することが、妊娠の確率について影響を与えないという根拠もないということになります。
多くの産婦人科医は妊娠を望む場合は、アルコールの摂取を控えることを推奨しています。

体外受精での移植の際には、少なくとも採卵や採精の3ヵ月程度前からビールなどのアルコールの摂取を控えることをすすめる医師もいます。
これは精子や卵子が成熟するのにかかる期間、アルコールの影響がどのようにどの程度出るかわからないためだとされています。

ビールが体外受精に悪影響を及ぼすかどうかは医学的な根拠はありませんが、控えておいたほうが無難だと言えるでしょう。

移植後はビールの他に、喫煙や激しい運度も避けることが無難です


体外受精での胚の移植後は、特別何かをしなくてはいけないということはなく、基本的には普段通り過ごすのですが、中でも避けた方がよいとされる行為もあるため、注意してすごしましょう。

胚移植を行ったあとは、体は非常にデリケートな状態であると言えます。
移植当日は、膣内に傷が出来ている可能性もあるため、入浴や水泳、タンポンの使用などは控えるようにしましょう。

夫婦生活も子宮に対して刺激になってしまうため、しばらくは控える方が無難です。
激しい運動や長距離の自転車の乗車もなるべくは避けた方がよいとされていますが、体を動かさないとストレスが溜まってしまうようであれば、軽いストレッチやピラティスなどを取りいれることをおすすめします。

また体の負担が大きく、血管を収縮させてしまうため、喫煙は避けることをおすすめします。
副流煙は体への影響も大きいため、出来る限り身近な人の喫煙も避けてもらうと安心です。

体を冷やしすぎないことも大切です。
デリケートな時期は体調も崩れやすいため、普段よりも少し体を労わる気持ちで過ごすとよいでしょう。

ビールは妊娠していた場合赤ちゃんにも影響します

妊娠を望むカップルや体外受精を行なう方に対して、ビールなどのアルコールの摂取を控えることを医師がすすめるのには、妊娠の可能性とアルコールの影響も理由のうちのひとつです。

胎児は、胎盤を通して母親の血液から酸素と栄養のすべてを受け取ります。
いわば胎児の生命線とも言えます。

ビールなどのアルコールを母親が摂取すると、それは胎児の体にも入ることになります。
厚生労働省が注意喚起している通り、母親の飲酒は胎児の奇形や脳障害へ影響を与える可能性が高いものです。

低体重児の出生原因の理由のひとつにもなっていることは良く知られていますが、最近の研究では、ADHDやうつ病のような精神科的問題にも影響を与えていることが分かってきました。

こういった母親の飲酒から胎児へ悪影響がでることを胎児性アルコール症候群と言い、対処法がないということも特徴として挙げられます。
胎児性アルコール症候群に唯一できる対処法は、母親が飲酒をしないということです。

ビールが体外受精に与える悪影響は医学的根拠がありませんが、妊娠の可能性がある限り、飲酒は避けるべきと言えるでしょう。

(まとめ)ビールなどアルコールの摂取は体外受精に悪影響?

1.体外受精とビールの関係は医学的根拠はありませんが、控えるべきという考えが一般的です

体外受精とビールなどアルコールの摂取の関係は、悪影響になると医学的な根拠が出ているわけではありません。

しかし影響を与えないという根拠もないため、一般的には体外受精の際はビールなどアルコールの摂取は控えるべきだとされています。

2.体外受精時、ビールの摂取は控えることをおすすめします

医師の多くは、妊娠を望む場合はアルコールの摂取を控えることを推奨しています。

精子や卵子の成熟する期間も考慮して、採精や採卵の3か月前あたりからアルコールの摂取を控えるよう促す医師もいます。
体外受精の際はビール等を控えるほうが無難でしょう。

3.移植後はビールの他に、喫煙や激しい運度も避けることが無難です

体外受精での胚移植をした後の体は、非常にデリケートな状態にあると言えます。

激しいスポーツや喫煙、冷えなど体に影響を及ぼす恐れのあるものは避けた方が無難です。
普段よりも少し体調を気遣うつもりで、穏やかに過ごすことをおすすめします。

4.ビールは妊娠していた場合赤ちゃんにも影響します

母親のアルコール摂取は胎児の発達に悪影響を与えることが分かっています。

胎児性アルコール症候群に対し唯一できることは、母親がアルコールを摂取しないことです。
体外受精での移植後は妊娠の可能性もあるため、アルコールの摂取は避けるべきでしょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師