世界中の男性の精子が減っている!?

世界中の男性の精子の数が減っていることが注目されています。欧米の専門家らが1973~2011年の間に行った研究によると、精子濃度(精液1mLあたりの精子の数)と総精子数はともに減少傾向にあり、北米、豪州、欧州の男性グループでは、1973年時に比べ2011年の精子濃度は52.4%、総精子数は59.3%減少していました1。また、日本人男性の精子数は欧州の男性よりも少ないといった報告もみられます2

不妊症に関する研究によると、不妊に悩むカップルの約50%は男性に原因があるという結果が示されています(13。こうした精子数の減少も不妊症の一因として考えられます。

1 男性に原因がある不妊症の発生率(アジアはロシアを含む)

精子に「熱」は禁物

男性不妊症のうち、最も多いのは元気な精子をつくる過程に問題がある造精機能障害です4。検査によって精液中の精子数が少ない、精子の運動率が低い、精子の形状に異常があるといった造精機能障害の有無が示されます。

「精子の異常をもたらすものは何か」ということですが、先天的な障害があったり、生活習慣や生活環境(環境ホルモンなど)に問題があったりと、さまざまな要因があると考えられています。先天的な障害や環境ホルモンなどは自分だけでは解決できない問題ですが、生活習慣であれば自ら取り組むことができます。

精子の元気を奪う代表的なものがタバコ、熱刺激、血流を妨げる圧迫、酸化ストレスなどです。タバコは精子の運動率を低下させたり、異常な形状の精子の頻度を高めるほか、勃起不全の原因ともなり得ます。

また、精子をつくる精巣は、体温より低い温度のほうがよく働き、精子の生成や運動率を高めるとされます。締めつける下着、長時間の座りっぱなしは、精子にとっては要注意の習慣です。

男性器付近を長時間圧迫し、血流を低下させるような状態も、精子にとって好ましくありません。長時間、自転車やバイクに乗り、サドルで男性器付近が圧迫されると、血流が悪くなり、精子の生成や運動率の低下、さらに勃起不全(ED)を招く可能性があります。

活性酸素による酸化ストレスは、精子の生成や成熟に悪影響をもたらし、精子のDNAに損傷を与えたりします。そこで、抗酸化作用(ビタミンC、リコピン、β-カロテン、オメガ3脂肪酸など)のある食材をとり入れた食事が勧められます。

過度の禁欲も精子に悪影響を与えます。射精されず古い精子が留まっていると、新しい精子をつくるスペースができず、さらいに古い精子から活性酸素がつくり出され、精子や精子をつくる細胞にダメージを与えると考えられています。

生活習慣を見直し(1)、元気な精子がつくられるように努めることが大切です。

表1 精子の元気を奪わないための注意点

1.禁煙をする
2.下着は締めつけが少ないものを
3.自転車やバイクによる股間の圧迫に注意
4.長時間の運転では、できるだけまめに休憩を
5.長時間のデスクワークでは、定期的に立ち上がる
6.長風呂やサウナはほどほどに
7.膝上でノートパソコン操作は行わない
8.禁欲しすぎない
9.ビタミンC、リコピン、β-カロテン、オメガ3脂肪酸を含む食材を
10. カフェインは摂り過ぎない
11. カロリー、高脂質の食事は控える
12. 肥満は避ける


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

詳しくはこちら

経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師