妊婦に必要な葉酸がタバコで消費されてしまうリスクがあります


妊婦にとって、葉酸は赤ちゃんの先天異常を防止したり、正常な生育を促したりするのに役立つ、必要不可欠な栄養素です。しかしタバコを吸っているとタバコの成分が体内で葉酸を消費してしまい、葉酸が不足してしまいます。

葉酸はサプリメントで補うのにも限界があるため、赤ちゃんのためにもせめて授乳が終わるまでは禁煙することが大切です。

タバコを吸うことで体内の葉酸が大量に消費されます

妊娠するにあたり重要な栄養素である葉酸は、実はタバコを吸うことでどんどん消費されてしまうと言われています。そのためタバコを吸わない人よりも体内にある葉酸の値が低くなりがちなのです。

喫煙者はそうでない人に比べて、低葉酸状態になるリスクが1.9倍になるとも考えられています。

葉酸は本来、妊娠初期に十分な量を摂取していることで、赤ちゃんに起きる神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを5~7割も下げてくれるとのデータがあります。

しかしタバコを日常的に摂取していることで、妊娠初期のもっとも重要な時期に葉酸が不足し、結果的に赤ちゃんに異常が出てしまうリスクが高くなってしまうと考えられています。

また葉酸はもともと造血や細胞分裂、細胞の修復などに関係する栄養素です。

そのためタバコを吸った結果葉酸が不足することで赤ちゃんに送る血液が足りなくなったり、低体重で生まれたり、赤ちゃんの発育が遅れたり、最悪障害を持って生まれたりする可能性も高くなっていくでしょう。

タバコはもちろんそれ自体が害になりますが、タバコを吸うことで赤ちゃんに必要な葉酸が損なわれるということも知っておきましょう。

タバコは赤ちゃんにとって深刻な影響をもたらします


百害あって一利なしとさえ言われるタバコは、本人の健康そのものだけでなく、妊娠にもやはり悪影響を及ぼすことで知られています。タバコは妊娠率を低下させる他、妊娠したとしても早産や流産のリスクを高めてしまうのです。

また生まれたとしても低体重で生まれてしまうリスクや、乳児突然死症候群(SIDS)という文字通り赤ちゃんが突然死してしまうリスクを生じさせることがあります。

その他、タバコを吸うことで妊婦の血中に一酸化炭素やニコチンが含まれるようになります。

その結果、一酸化炭素やニコチンが血液を通して赤ちゃんに送られ、酸素が運ばれるのを阻害するため、赤ちゃんが低酸素状態に陥ってしまう危険もあるでしょう。

低酸素状態のままだと赤ちゃんの発育が悪くなり、なんらかの障害が出る可能性もあります。

このように葉酸のことを抜きにしても、タバコは赤ちゃんに大きなリスクのあるものです。

妊娠を希望したその瞬間から、母乳を通して赤ちゃんに成分が届く可能性のある授乳期を終えるまで、できればその後もできる限り禁煙を心がけましょう。

葉酸サプリでタバコの害は消せません

タバコを吸って、葉酸が足りなくなると聞いて、人によっては葉酸を含むサプリメントを検討することもあるかもしれません。妊娠中に必要な葉酸は480μgといわれており、この必要量をまるごと補うことができるとされるサプリメントも存在しています。

妊娠に必要な分と、タバコで消費する分まで計算して多めに飲めば、帳消しになるのではないかと安易に考える人もいるでしょう。

しかし実際のところ葉酸サプリを飲んだところでタバコの害が帳消しになるわけではありません。

また不足した葉酸を補うのには役立つものの、結局サプリメントを飲んでいたとしても喫煙者の体内に含まれる葉酸は不足しがちです。

さらに忘れてはいけないのが過剰摂取の問題です。葉酸には摂取上限が決められており、1日に1000μg以上を摂取すると妊婦本人の健康を損なったり、赤ちゃんに影響が及んだりする可能性も指摘されています。

サプリメントは手軽にとれる一方で、使い方を間違えると危険なこともあります。赤ちゃんへのリスクを考えるなら禁煙を目標に、あくまで適量の葉酸サプリの摂取をしていくのがよいでしょう。

(まとめ)妊婦と葉酸とタバコの関係は?

1.妊婦に必要な葉酸がタバコで消費されてしまうリスクがあります

葉酸は胎児の先天異常を防止するなど、妊娠に欠かせない存在です。その葉酸を、実はタバコの有害成分が消費してしまいます。

葉酸不足に陥らないために、サプリメントを使用するとともに禁煙することが大切です。

2.タバコを吸うことで体内の葉酸が大量に消費されます

喫煙によって葉酸が消費されるため、喫煙者は低葉酸状態になる可能性が高くなります。

その結果、胎児に必要な葉酸が損なわれ、胎児の先天異常や低体重などのリスクもまた高まるのです。

3.タバコは赤ちゃんにとって深刻な影響をもたらします

喫煙そのものも、赤ちゃんにもちろんよくありません。早産・流産・突然死のリスクの他、赤ちゃんの発育を妨げる可能性もあります。

妊娠を希望した瞬間から、せめて授乳期を終えるまでは禁煙するようにしましょう。

4.葉酸サプリでタバコの害は消せません

タバコで葉酸が足りなくなる分、サプリメントで補うことは有効です。しかしタバコの害がなくなるわけではありません。

またサプリメントを飲み過ぎて逆に過剰摂取になる危険もあります。禁煙を目標に適量の摂取が大切です。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師