卵子が熱に弱いという医学的根拠はありません


卵子が熱に弱いという説を耳にすることがありますが、結論から言うと、卵子が熱に弱いという医学的根拠は示されていません。

人間の身体には体温を一定に保とうとする働きがあるため、余程のことがない限り、卵子が熱の影響を受けるとは考えにくいです。

お腹の周りある体脂肪が体内の温度をコントロールするため、生命の維持が危ぶまれるような環境下でもなければ、卵子まで熱は届きません。

健康ブームの影響で何かと嫌われがちな体脂肪ですが、暑い時には熱を外に逃がし、寒い時には体温が下がり過ぎるのを防いでくれます。
また体脂肪は、女性ホルモンの働きを助けるとも言われています。

基礎体温には低温期と高温期があります

卵子が熱に弱いという話がありますが、医学的な根拠は存在しません。
そもそも人間は体温を一定に保つ恒温動物であるため、体内は常に温かく保たれています。

しかしその熱が卵子に影響を与えるとは考えにくいです。
逆に体温が低いことの方が、卵子に影響する可能性があります。

なぜなら妊娠を望む女性は、基礎体温をきちんと計測することを求められるからです。
基礎体温には低温期と呼ばれる時期と、高温期と呼ばれる時期があり、どちらも卵子を育てるための大切な時期になります。

正しい基礎体温を続けると、排卵日が予測しやすくなるという大きなメリットがあります。
排卵は、低温期と高温期が入れ替わるタイミングで行われます。

不妊治療では排卵日をもとに治療のスケジュールを立てていくため、低温期と高温期を正確に把握するのがポイントとなるのです。
低温期と高温期の特徴を理解して、基礎体温についての理解を深めましょう。

低温期

低温期とは、生理開始から次の排卵までの期間である、「月経期」・「肺胞期」・「排卵期」を指しています。

この時期の基礎体温が下がるのは、体温を上昇させるプロゲステロンの分泌量が低下するためです。
排卵が起こる前には、卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌量が増加します。

高温期

高温期は、排卵後から次の生理が来るまでの期間を指しており、黄体期とも呼ばれています。

卵子を放出し終えた後の卵胞が黄色い組織に変化して(黄体化)、黄体ホルモンであるプロゲステロンを分泌するのです。
プロゲステロンは着床に備えて子宮内膜を厚くし、体温を上昇させる働きがあります。

低温期と高温期の差があるのが妊娠に望ましい状態です


人によって基礎体温には差がありますが、基本的に低温期と高温期の温度差は、0.3℃以上とされています。
さらに低温期と高温期が36~37℃の間を推移する状態が、望ましいと考えられています。

自分の基礎体温が正常であるかどうか判断するには、以下の項目をチェックしてみましょう。

  • 低温期と高温期の温度差が0.3℃以上あるか
  • 3日以内に低温期から高温期への移行されたか
  • 高温期の途中で急な温度変化はなかったか
  • 高温期は10日以上続いたか
  • 生理周期が25~38日以内に収まっているか

低温期は卵子を育てるための時期にあたり、きちんと体温が下がることで、質のよい卵子が育ちやすいと考えられています。

卵子が熱に弱いということはありませんが、低温期に体温が高いままだと、卵子の質が落ちてしまう可能性があるのです。

基礎体温で不安な点があれば、医師に相談してみてください。
また正しい計測方法についても事前に確認しておきましょう。

妊娠に向けて女性ホルモンのバランスを整えましょう

基礎体温が乱れる原因は、女性ホルモンのバランスが崩れているためだと考えられます。
女性ホルモンは、脳にある視床下部や下垂体が司っています。

視床下部や下垂体は脳にあるがゆえに、栄養不足は睡眠障害、ストレスなどに影響されやすいと言えるのです。
バランスの悪い食事内容や寝不足、生活や仕事上でのストレスが、ホルモンバランスに影響を及ぼします。

規則正しい生活習慣が女性ホルモンのバランスを整え、妊娠しやすい身体づくりをサポートしてくれるでしょう。
とは言っても、これまでの生活習慣をいきなり変えるのも、逆にストレスになり兼ねません。

まずは普段の過ごし方を振り返り、改善点を見つけていきましょう。
改善すべきポイントが把握できたら、できるところから少しずつ改善していくとよいでしょう。

(まとめ)卵子が熱に弱いって本当なの?

1.卵子が熱に弱いという医学的根拠はありません

卵子が熱に弱いという説を耳にすることがありますが、卵子が熱に弱いという医学的根拠は存在しません。

人間は恒温動物で体温を一定に保つ必要があるため、過酷な環境下でない限りは卵子まで熱が届かないような仕組みになっています。

2.基礎体温には低温期と高温期があります

基礎体温を正しく測ると排卵日の予測がしやすくなるため、妊娠を希望する女性は基礎代謝の計測が必須になっています。

低温期と高温期のいずれも、卵子を育てるための大切な時期となります。

3.低温期と高温期の差があるのが妊娠に望ましい状態です

低温期と高温期に0.3℃以上の差がある状態が、妊娠に望ましいと考えられています。

基礎体温が低温期に下がらないと、質のよい卵子が作りにくくなるとされています。
自分の基礎体温について不安な点があれば、医師に相談しましょう。

4.妊娠に向けて女性ホルモンのバランスを整えましょう

基礎体温が乱れる原因は生活習慣やストレスで、女性ホルモンのバランスが崩れるためだと考えられます。

普段の生活を思い返し、改善できる点は直していきましょう。
バランスのよい食事・充分な睡眠・ストレス解消が妊娠しやすい身体づくりをサポートします。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小山寿美江医師
こやま すみえ/Sumie Koyama

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経歴
1999年 琉球大学医学部医学科卒業
2000年 東京医科大学病院救急救命センター
2001年 東京女子医大病院腎センター
2003年 緑風荘病院 血液浄化療法センター
2006年 昭和大学病院産婦人科
2009年 昭和大学病院産婦人科 助教
2010年 東京衛生病院産婦人科
2012年 木場公園クリニック勤務
木場公園クリニック 分院 院長
2016年 六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
アメリカ生殖医学会

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院長 小山寿美江医師