卵子凍結は卵子の老化を防ぎ、ピルは卵子の数を維持するといわれています


不妊治療には妊娠するために必要な卵子を守るための施術があります。
施術方法や正確な目的は異なりますが、不妊治療時の卵子凍結やピルの服用が卵子を守るために行われる施術です。

卵子凍結は卵子をいい状態で保存するための、ピルの服用は生理の周期を規則正しくなるように整えたりするほかに排卵を抑えて卵子の数を温存するために行われる施術です。

卵子凍結では採卵した卵子を長期間凍結保存することが可能になります

卵子は女性が生まれる前からすでに作られているもので、後から新しい卵子が作られるということはありません。

そのため年齢が上がるとともに卵子の老化が進み、老化のために卵子の品質が低下して妊娠しにくくなる、流産しやすくなるなどの不妊の状態になるとされています。
卵子凍結は女性の卵巣から卵子を採取してからすぐに液体窒素で凍結、保存する施術です。

卵子を採卵したときの状態のままで長期保存ができるので、年齢を重ねることで卵子の老化が進むことを抑制して卵子の品質を維持することが可能といえます。

妊娠を望んだ時には凍結後の卵子で顕微授精を行い、受精が成功した後には受精卵を子宮内に戻して子宮内膜への着床を待ちます。
卵子凍結した時点での年齢が若いほど受精や妊娠の成功率が上がりやすいです。

反対に卵子の老化が進んで質が低下した場合には、卵母細胞から卵子になるまでに行われる減数分裂のときに細胞分裂が失敗して染色体の不分離により卵子の染色体異常が生じるともいわれています。
卵子凍結では、卵子の質の低下に伴うさまざまな問題を予防することが期待できるでしょう。

ピルを服用すると排卵を抑えることができます


前述の通り、卵子は女性が生まれる前にすでに作られていて、後から増えることはありません。
そのため女性が年齢を重ねると卵子の老化が進むだけでなく、卵子の数もどんどん減っていくといえます。

卵子の元となる原子卵胞は生まれた時には約200万個あるといわれていますが、徐々に減少していき思春期には約20~30万個になるといわれます。

さらに排卵が始まってからは卵子の数は1ヶ月に約1000個ずつ減っていき、卵子の数がなくなると妊娠することができなくなるのです。

避妊薬というイメージのあるビルですが、それはピルを服用すると排卵が行われなくなるため、避妊のために服用する方が多いからといえるでしょう。

ピルには毎月の排卵や月経周期をコントロールしている女性ホルモンが含まれています。
ピルを飲み続けていると、女性ホルモンの量を妊娠した時と同じ状態にできるため、妊娠していると脳に勘違いさせるといいます。

身体を妊娠しているときと同じホルモン状態にして排卵を抑制すると、卵子の数を維持することが期待できるのです。

卵子凍結とピルはそれぞれ異なる症状に適しているといえます

卵子凍結は卵子の老化による質の低下を防ぐための施術で、ピルは卵子の残存数を維持するための施術です。
卵子の質の低下は検査で調べることはできませんが、病気などの原因がない場合には年齢によるところが大きいとされています。

卵子凍結は主にがん患者などが化学療法や放射線療法によって卵巣機能が低下する前に卵子を凍結して保存するために行われていました。

しかし2013年からは女性が今は妊娠を望んでいないけれど将来に向けてできるだけ若い年齢の卵子を残しておきたいという女性も可能になったのです。

一方ピルの服用は卵巣内の卵子の数が少なくなっていた場合などに卵子の数の減少を防ぐために行われます。
卵子の数が少なくなると卵巣機能が低下していき、完全に卵巣機能が停止すると「閉経」になるのです。
一般的には閉経は50歳位に訪れるとされています。

ところが100人に1人の割合で「早期閉経」になる可能性があり、20代、30代でも卵巣内の卵子がなくなるといわれています。
このような早期閉経の心配がある方にピルの服用が適しているといえます。

卵巣内の卵子の数を確認する方法には「卵巣年齢検査(アンチミューラリアンホルモン検査)」があるので、月経不順の方や過激なダイエットをしていたような方などは検査をしておくと安心です。

(まとめ)不妊治療で行う卵子凍結とピルはどう違うの?

1.卵子凍結は卵子の老化を防ぎ、ピルは卵子の数を維持するといわれています

不妊治療時の卵子凍結やピルの服用は、妊娠するために必要な卵子を守るための施術といえます。

卵子凍結は卵子の状態を保存するため、ピルの服用は毎月行われる排卵を抑えて卵子の数を温存するために行われます。

2.卵子凍結では採卵した卵子を長期間凍結保存することが可能になります

卵子は女性が生まれた時点ですでに体の中に作られているといわれています。

女性の年齢が上がるとともに卵子も老化が進むため、卵子を凍結保存することで卵子の老化を防ぐことが期待できるでしょう。

3.ピルを服用すると排卵を抑えることができます

卵子の数は女性が生まれた時点で決まっているため、これ以上増えることはないといわれています。

そのため女性が年齢を重ねると卵子の数はどんどん減っていくのです。
卵子の数が減ることを抑制できるのがピルの服用とされています。

4.卵子凍結とピルはそれぞれ異なる症状に適しているといえます

卵子凍結は病気の療養や加齢により卵子の質が低下する前に質のよい卵子を保存しておきたいという場合に適しています。

ピルの服用は早期閉経が心配される場合など、卵子の残数が少ない方に適した施術方法といえます。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師