ポリオワクチンが不妊症の原因になるとの声もあります


ポリオは現在国内で根絶されていますが、海外からウイルスが入ってくるために未だ感染のリスクは残されています。この、ウイルスの流行している海外では、ポリオワクチンが不妊症の原因になるという主張もされていることがありますが、信憑性は明らかではありません。

日本では子供に対して定期接種の対象にもなっています。あまり不妊症を心配する必要はないでしょう。

ポリオは子供が感染しやすいウイルスです

インフルエンザなどと違い、とくに若い人の間ではポリオはあまり馴染みがないという人も多いかもしれません。ポリオはポリオウイルスによる感染症のことを指します。

乳幼児がかかることが多く、最初は経口感染するのが特徴です。感染すると腸の中で繁殖し、やがて便中に排泄されます。

この便に他の人が触れるとその人も感染することによって広がっていくのです。ポリオウイルスに感染した場合、風邪のような明らかな症状はほとんど見られません。

そのかわりまれにウイルスが脊髄に悪影響を及ぼすことがあり、その結果手足に一生麻痺が残ってしまう可能性があるのです。一時的な風邪よりもよほどおそろしいウイルスといえます。

このウイルスには残念ながら有効な治療法、特効薬等が見つかっておらず、予防するためにはワクチン接種が必要となります。

日本ではウイルスの感染力を削いだ不活化ポリオワクチンが2012年から、子供を対象とした定期接種として導入されています。

その他、ジフテリアや破傷風、百日せきと合わせた4種混合ワクチンも接種可能です。ちなみにウイルスを弱めた経口摂取の生ワクチンに関しては、ウイルスによる麻痺を防ぐために2012年以来行われていません。

ポリオはアフリカなどで流行しています


日本では昭和35年にポリオウイルスが流行したことがありますが、その後ワクチンが導入されたために発症の報告はありません。世界的に見てもポリオの発症は激減しました。

しかしアフリカでは未だにポリオが流行しています。その理由として、2003年にアフリカにあるナイジェリアが「ポリオワクチンは汚染されており、不妊症やエイズが蔓延する可能性がある」と主張したことが挙げられます。

ナイジェリアにあるカノ州の検査によれば、ポリオワクチンの中に女性ホルモンの1つであるエストロゲンなどを検出したとしています。またナイジェリアはこれを米国の陰謀だとも主張しているようです。

そして今のところ、ポリオワクチンの接種と不妊症に関する因果関係については、世界的にはとくに有効なデータがありません。

もともと、ワクチン接種をするしないに関わらず、一定割合が不妊症になってしまいます。

当然、日本でもポリオワクチンを接種した子供の中に、将来不妊症になる人はいるかもしれませんが、それがポリオワクチンのせいとは限りません。

また過去に日本でポリオが流行した際に生ワクチンが使用されましたが、その後もワクチン接種を受けた人がワクチンのせいで不妊になったという話はとくに聞きません。

ポリオは今のところ日本では起きていませんが、アフリカ諸国からの旅行客が持ち込む可能性や、逆に国内からの旅行客が持ち帰る可能性もあります。

そのためポリオの定期接種は国の指定する分をしっかりと受けさせる必要があるでしょう。

妊娠を考えている場合は、ポリオワクチン接種を検討しましょう

ポリオウイルスは主に子供が感染するものですが、大人が感染する場合もあります。赤ちゃんにウイルスを移さず、かつ赤ちゃんから移されないために、大人がワクチン接種を受けることも有効です。

本人にどのくらい免疫があるかによって、ワクチンは大人で1~3回の接種が必要となっています。ちなみに子供では4回の定期接種が必要で、5回目は5歳以上7歳未満を対象に任意接種となっています。

子供の場合は対象年齢内であれば無料で接種が可能ですが、大人の場合は自費となります。

ポリオが不妊症と関連があるかもしれないと不安になっている人もいるかもしれません。しかし日本では1960年からすでにポリオワクチンが使用されており、その結果ポリオウイルスは国内において根絶されました。

日本と海外で行き来がある以上、ポリオウイルスの発生の可能性はいつでもあります。そしてポリオウイルスの対策は現状ワクチン接種しかありません。

子供の感染を防ぐためにも、大人であってもワクチン接種は検討しておいた方がよいでしょう。

(まとめ)不妊症とポリオは関係がある?

1.ポリオワクチンが不妊症の原因になるとの声もあります

ポリオウイルスに対するワクチン接種は、日本では子供に対して定期接種の対象となっているものです。海外では不妊症の関連を主張する声もありますが、日本ではとくにデータがありません。

よく理解を深めておいた方がよいでしょう。

2.ポリオは子供が感染しやすいウイルスです

ポリオはポリオウイルスによる感染症で、万一のリスクが高いことで知られています。一生麻痺が残る可能性もあるため、万一でも感染しないよう定期接種をした方がよいでしょう。

日本では不活化ワクチンが導入されています。

3.ポリオはアフリカなどで流行しています

アフリカなど発展途上国を中心に、ポリオワクチンは不妊症のリスクを高めるという主張がされたことにより、アフリカではポリオが未だに蔓延しています。

しかし具体的にポリオワクチンが不妊症に関連するという有効なデータは世界的に見てもありません。

4.妊娠を考えている場合は、ポリオワクチン接種を検討しましょう

ポリオウイルスは海外からやってくる可能性もあり、また大人が感染する危険もあります。

感染しやすい子供を守るために、子供だけでなく大人も予防接種を受けた方がよいでしょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

詳しくはこちら

経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師