不妊治療でヘパリンを使うのは不育症を治療するためです


ヘパリンは不育症の治療薬として投与される薬です。
妊娠にいたっても流産が続けて2回以上起きてしまった場合に、不育症の検査が必要とされています。

不育症の治療には低用量アスピリンが用いられることがありますが、ヘパリンを併用した方が高い効果を望めるとされているのです。

実際、抗リン脂質抗体症候群などの場合に対してヘパリンが利用されることは多く、ヘパリンの併用によって30%も妊娠率が上がったというデータもあります。

不育症とはお腹の赤ちゃんが育たない病気です

不育症とは妊娠をしても流産を繰り返してしまう症状のことを言います。

自然流産は妊娠した女性の10~20%が経験すると言われていますが、自然妊娠の場合は一度流産しても次の妊娠では出産に至るケースもあるのです。

しかし不育症による流産の場合は、妊娠と流産が繰り返し起こります。
厚生労働省では2回以上流産が続いた場合には、検査をする必要があるという見解を公表しています。

流産が続けて2回起こることを「反復流産」、3回以上続くことを「習慣流産」と言いますが、いずれも不育症とほぼ同じ意味を持つとされているのです。

不育症は次に挙げる疾患が原因になると考えられています。

染色体異常

自然流産の多くは偶発的な染色体異常が原因になっていると考えられています。
夫婦のうちどちらかに染色体異常が見られると、一定の確率で流産になると言われているのです。

不育症の4.6%が染色体異常によるものですが、妊娠が不可能というわけではありません。

内分泌異常

ホルモンの異常は黄体機能不全や甲状腺機能異常、高プロラクチン血症などを招き、不妊の原因となります。
内分泌系の疾患は流産の可能性が高くなると言われていますが、薬の投与による治療で改善が望めるでしょう。

子宮形態異常

厚生労働省の調査では子宮形態異常による不育症は、全体の7.8%にのぼります。

子宮の形が通常と異なるために不妊の原因となりますが、子宮の形成手術をしなくても約60%の人は出産が可能と言われています。

血液凝固異常

血液が固まって、血栓ができやすくなるという疾患です。
血栓があるために胎児に栄養素が運ばれず、流産になりやすいとされています。

抗リン脂質抗体

免疫機能が自分の身体を異物と誤認識し、攻撃するようになります。
抗リン脂質抗体は自己免疫の異常により、血栓ができやすい状態です。

ヘパリンは血栓症の治療に使われる薬です


厚生労働省の調査結果を見てみると、不育症の原因の中でも抗リン脂質抗体症候群の割合は少ないと言えます。

抗リン脂質抗体症候群では血栓ができやすく、ヘパリンを使った抗血栓療法が行われているのです。
血栓症の治療にはヘパリンのほかに、血液をさらさらにする効果が期待されるアスピリンが使用されています。

欧米ではアスピリンだけを使用した治療よりも、ヘパリンを併用した時の方が30%近くも妊娠率が上がったという研究結果が報告されているのです。

日本でヘパリンとアスピリンを併用した治療が行われ始めた背景には、このような研究調査が影響していると言えます。

抗リン脂質抗体症候群は不妊になるリスクが高いですが、日本ではまだあまり知られた疾患ではありません。
適切な検査や治療を受けるには、実績のある信頼性の高いクリニックを受診することが大切です。

夫婦のコミュニケーションをはかってストレスをなくしましょう

ヘパリン療法が必要となる不育症は、ストレスが悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
不育症の原因のひとつである染色体異常は、女性だけでなく男性側に問題が見つかることがあります。

夫婦での検査や治療が行われる可能性は十分にあるため、お互いに不妊治療に取り組む意思を確認し合いましょう。

仕事を持ちながらの不妊治療は、時に負担に感じることがあるかもしれません。
夫婦で通いやすいクリニックを選ぶことも、不妊治療を始める上では重要なポイントです。

自宅から通いやすい、遅い時間まで診療を受け付けているなど、通いやすさの決め手はいくつもあります。
不妊治療そのものがストレスにならないよう夫婦でよく話し合い、医師と良好な関係が築きやすいクリニックを選びましょう。

(まとめ)不妊治療でヘパリンを使うのはどうして?

1.不妊治療でヘパリンを使うのは不育症を治療するためです

ヘパリンは不育症を治療するために使われる薬で、続けて2回以上の流産が起きた場合に用いられます。

低用量アスピリンのみの治療よりも、ヘパリン併用での治療の方が流産する確率が低くなると言われているのです。

2.不育症とはお腹の赤ちゃんが育たない病気です

厚生労働省の見解では2回以上流産が続いた場合には、検査を受ける必要があるとされています。

染色体異常や内分泌異常などによって不育症が引き起こされますが、妊娠する可能性はあります。

3.ヘパリンは血栓症の治療に使われる薬です

厚生労働省の調査では、不育症の原因の中で抗リン脂質抗体症候群がもっとも多くなっています。

日本ではまだ広く知られた疾患ではないため、適切な検査と治療を受けるには信頼できるクリニックを受診しましょう。

4.夫婦のコミュニケーションをはかってストレスをなくしましょう

ヘパリン療法が必要となる不育症は、染色体検査の際に夫婦での来院が必要となります。

不妊治療を受けようという意思をお互いに確認し合い、ストレスなく治療を受けられるクリニックを選びましょう。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師