不妊治療の薬には副作用があるものもあります


不妊治療で使用される薬は、女性の治療であれば排卵誘発剤や各種ホルモン剤、男性の治療であれば勃起を助ける薬や精子を作る機能の回復薬など多数の種類があります。

いずれも副作用が出る可能性がありますが、その症状は人や体調などによっても違います。
重い副作用が出るリスクのある薬もあるため、薬を服用するときには必ず医師の指示に従うことが大切です。

排卵誘発剤にはOHSSなどの副作用のリスクがあります

不妊治療では、卵胞を育てて排卵を促すために、排卵誘発剤を用いることがあります。
種類豊富で効果も副作用もそれぞれ異なる排卵誘発剤ですが、薬を使う以上は副作用のリスクを考慮しておかなければなりません。

排卵誘発剤の主な副作用には、卵胞過剰刺激症候群や多胎妊娠・子宮内膜や子宮頚管への影響・吐き気・少量の出血などがあげられます。
卵胞過剰刺激症候群とは、卵巣が腫れて腹水がたまってしまう症状です。

これはOHSSとも呼ばれ、代表的な副作用でもあります。
薬によって卵巣への刺激が高まり、多くの卵胞が発育してしまうことから発症するのです。

お腹や胸に水がたまってくると、息苦しさ・下腹部の膨張感・腹痛・吐き気・下痢・のどの渇きなどの症状が出ることがあります。

急に体重が増えるのも水がたまるためで、血液の凝縮によって尿量が減ってきたら要注意です。
重症化してくると、血管が詰まる血栓症や腎機能障害・呼吸困難にも陥りかねません。

やせ型の方・年齢が35歳以下の方などに起こりやすいとされているOHSSですが、早期治療で症状が改善するため、体調に異変を感じたときはすぐに医師に相談することが重要です。

OHSSを発症したときは、体外受精の胚移植はいったん中止となります。
妊娠すると症状が悪化するためで、OHSSの症状が改善されれば体外受精も再開できるようになるでしょう。

ピルの服用で副作用が出ることもあります


体外受精では、比較的成分量の多い中用量ピルを用いることがあります。
中用量ピルは副作用が出やすい傾向にありますが、これは低用量ピルに比べると成分量が多いためです。

代表的な副作用としては、乳房痛・悪心・頭痛・めまいなどがあげられます。
ごくまれにですが、血栓症につながることもあるため、副作用がひどい場合は医師に相談してみることが大切です。

飲み慣れると副作用が出にくくなるともいわれるピルですが、我慢して体に負担を与えるのは禁物と言えるでしょう。
中用量ピルの副作用の一種である血栓症は、長時間同じ姿勢でいると症状が出やすいといわれています。

下半身など、血流が悪くなりがちな部位で起こりやすいのも特徴です。
対策としては、中用量ピルを服用しているときには足首などをなるべく動かすようにするとよいでしょう。

ピルを飲み始めの頃には副作用が出やすいものの、慣れてくると副作用がおさまってくることもあります。
また人によっては副作用をまったく感じないこともあり、体質などによって相性が異なります。

ピルにもさまざまな種類がありますから、医師に相談して相性のよい種類を処方してもらうのも一案です。
様子を見ているうちに体調が悪化することがないよう、気を付けてください。

不妊治療で処方される薬は多岐にわたります

不妊治療で用いられることのある薬は、何種類もあります。
排卵誘発剤やピルなどにも、それぞれ種類があって体質や体調、症状などによって異なる処方がされるほどです。

女性と男性でも処方される薬が異なり、とくに女性ではさまざまな目的の薬が多数用意されています。
たとえば排卵誘発剤には代表的な種類だけでも5種類以上あり、卵胞を育てたり排卵を促したりするために用いられています。

薬の種類ごとに副作用の症状や程度も異なり、卵巣の腫れなどが主な副作用としてあげられるでしょう。
血液中に乳酸が増えて酸性状態に傾く乳酸アシドーシスという副作用を起こすことがあるのは、血糖値を適正に保つための薬です。

ほかにも、早期排卵を抑えるなど排卵をコントロールする薬や卵胞ホルモン(エストロゲン)を補充する薬、黄体ホルモン(プロゲステロン)を補充する薬なども数種類あります。

卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方を補充する薬などもあり、不妊治療の複雑さがうかがえますね。
男性に処方される薬では、精子をつくる機能を回復させる薬や勃起を助ける薬などがあります。

いずれも複数の種類があり、女性の場合と同じように体質や体調、副作用の出方などによっても処方される種類が異なります。

(まとめ)不妊治療で飲む薬に副作用はある?

1.不妊治療の薬には副作用があるものもあります

男女ともに、不妊治療では薬を用いることがあります。

薬の副作用がどのように出るかは人によっても違いますが、重い副作用に悩まされるリスクを避けるため、医師の指示にしたがって服用することが大切です。

2.排卵誘発剤にはOHSSなどの副作用のリスクがあります

不妊治療で排卵誘発剤を用いると、副作用のリスクが否めません。

代表的な副作用であるOHSSは、発症したら不妊治療をいったん中止する必要があります。
症状が悪化することもある副作用ですから、早期治療が重要です。

3.ピルの服用で副作用が出ることもあります

体外受精で用いられる中用量ピルは、頭痛やめまいなどから重い症状では血栓症などの副作用が出ることがあります。

飲み慣れると副作用も出にくくなるといわれますが、副作用がひどいときには医師に相談してピルの種類を変えてもらうのも一つの手です。

4.不妊治療で処方される薬は多岐にわたります

不妊治療で用いられる薬は、男女ともに多数の種類があります。

それぞれに副作用も異なり、人によっても程度や症状が違ってきます。
副作用がひどいときには、医師に相談して薬の種類を変えてもらうことも大切です。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師