日本での不妊治療を利用した男の子の産み分けは、倫理的な観点から認められていません


受精したときに決まるといわれている子供の性別は、着床前診断で調べることができるとされており、技術的には、男女の産み分けも可能と言えるかもしれません。

しかし日本の産婦人科関連学会では、男女の産み分けを倫理的に賛成していません。
このため、日本で不妊治療を利用した産み分けを行うのは難しいと言えるでしょう。

また海外での産み分けを希望する人もいますが、体外受精でも100%確実な男女産み分けは難しいとされています。

着床前診断では男女の見分けが可能です

体外受精では、着床前診断をして染色体や遺伝子情報を調べることができます。
2本のペアが23ある染色体の23番目は、男女の性別を決める性染色体です。

卵子にはX染色体が、精子にはX染色体とY染色体の2種類がありますから、これにより男女の見分けができます。
つまり、卵子とX染色体の精子が受精すれば女の子が生まれ、卵子とY染色体の精子が受精すれば男の子が生まれるというわけです。

着床前診断で男の子が生まれるか女の子が生まれるかわかるということは、体外受精で受精卵を子宮内に戻す肺移植を行うかどうかを選ぶこともできてしまうということです。

これが男女の産み分けとなりますが、実現してしまえば希望した性別の子供しか生まれないということにもなってきます。
このような命の選択を行うことを日本の産婦人科関連学会では倫理的に認めていません。

重篤な遺伝子疾患や習慣性流産の可能性が高いなど、一定の条件を満たす場合しか着床前診断も認めていないのです。
実際に着床前診断を行う場合でも、ケースごとに学会への申請が必要となり手間がかかります。

無断で診断を行えば、学会から除名されるなどの厳しい処分が科されることがあるため、医師も慎重です。

海外で着床前診断を受ける方法もあります


男の子がほしいと思っても、日本国内では体外受精や顕微授精による産み分けが認められていません。

国によっては男女の産み分けができるところもありますから、もしどうしても男の子がほしいという場合は渡航するなどして、海外の医療機関を利用するという選択肢もあるでしょう。

ただし、海外で着床前診断による産み分けをしたところで、デメリットがないわけではありません。
妊娠率が低下する可能性もあれば、なるべく質の良い精子や受精卵を得るために苦労することもあるでしょう。

妊娠率が低下してしまう理由としては、産み分けを最優先にして、質の高い精子や受精卵を後回しにする可能性が出てくるためです。
また費用が高額になるのも特徴となります。
そもそも体外受精や顕微授精は、健康保険の適用外です。

1回に数十万円がかかる治療ですから、複数回治療する可能性もあることを考えると、海外に渡航したり民間サービスに仲介してもらったりなどの別途費用がプラスされるのはさらに負担になるでしょう。
方法はあっても、簡単には実行しにくいのが着床前診断による産み分けです。

体外受精でも男女の産み分けは不確実です

体外受精では、男の子が多く生まれるという説があります。
これは男の子がほしいと切実に願っている人にとって、大きな希望となるかもしれません。

しかし自然妊娠と比べて体外受精では男の子が多く生まれているというのは本当なのでしょうか。
実は、自然妊娠の場合を比較しても、男の子と女の子が生まれる確率はほぼ同じ割合で、ほんのわずかに男の子が生まれる確率のほうが高いといわれています。

ただし、イギリスで発表された論文を参考にすると、10年間の調査で体外受精による男の子が生まれる確率は約52%、顕微授精では約49%だという結果が出たといいます。
つまり自然妊娠でも体外受精でも、男の子が生まれる確率はそれほど違わないということです。

またあくまでも統計データによる結果ですから、体外受精で生まれる子供の男女比については医学的な因果関係が解明されていません。
日本国内で顕著なデータも見られず、参考にしきれるものではないでしょう。

このように、体外受精でも男女の産み分けは不確実なことがわかります。
男の子が生まれても女の子が生まれても、子供を授かること自体が大切なことだと本来の目的に立ち返ったほうがよいと言えるでしょう。

(まとめ)不妊治療で男の子を妊娠したい時はどうすればいい?

1.日本での不妊治療を利用した男の子の産み分けは、倫理的な観点から認められていません

技術的には不妊治療を用いた産み分けが可能ですが、日本においては倫理的な観点から認められていません。

また体外受精を利用したとしても、100%の確率での産み分けは難しいといわれています。

2.着床前診断では男女の見分けが可能です

受精卵が男の子か女の子かを見分けることは、着床前診断で可能です。

ただし日本の関連学会では特別なケースを除いて着床前診断を倫理的に認めていません。
このため、日本では男女の産み分けが難しいのです。

3.海外で着床前診断を受ける方法もあります

どうしても産み分けをしたいという場合は、着床前診断が認められている国などで施術を受けるという方法が考えられるかもしれません。

ただし、費用負担がかかること、精子や受精卵の質を後回しにして妊娠率が低下する可能性も忘れないでおきましょう。

4.体外受精でも男女の産み分けは不確実です

統計的には、体外受精でも男の子と女の子が生まれる確率はほぼ半々です。

自然妊娠でも男女が生まれる割合は半々程度で、男の子のほうがやや多いくらいですから、体外受精でもとくに男の子が生まれやすいという保証はありません。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師