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腰痛の原因が子宮筋腫の場合は妊娠しにくいことがあります
腰痛を起こす原因と考えられる疾患はいくつかありますが、中でも子宮筋腫が原因だった場合、子宮筋腫を発症していない人に比べて妊娠しにくいと言われています。
子宮筋腫ができる数、大きさ、場所はさまざまですが、精子や受精卵の通り道である卵管や、卵管口をふさぐ位置に腫瘍ができると不妊症の原因となることがあります。
子宮筋腫ができてしまっても妊娠や出産をすることは可能です。
命に関わる病気ではありませんが、クリニックで定期的に検査を受けるなどして早めに対処する心構えを持ちましょう。
子宮筋腫は良性の腫瘍です
子宮筋腫は良性の腫瘍なので命を脅かすような重大な疾患ではありません。
子宮筋腫は女性ホルモンによって次第に大きくなり、そのまま放置してしまうと10kg以上の大きさに成長してしまうことがあります。
2個以上発生することが多く、数や大きさは人によって異なります。
また子宮筋腫ができる場所は子宮の内側、子宮の筋肉の中、子宮の外側の3つに分けられ、子宮の内側にできた場合は妊娠しにくくなることがあります。
子宮筋腫によって子宮の形が凸凹になると、受精卵が着床しにくくなることも指摘されています。
着床できた場合も子宮筋腫によって子宮が硬くなり、初期流産してしまうことがあります。
子宮筋腫ができてしまう原因についてまだはっきりとはわかっていませんが、初潮前の女性には見られず閉経後に小さくなることから、エストロゲンという女性ホルモンが関与していることがわかっています。
子宮筋腫の約95%が子宮体部、約5%が子宮頸部から発生し、稀に子宮膣部から発生することもあります。
30歳以上の女性の約20~30%に見られ、女性にとっては身近な病気であると言えます。
子宮筋腫により腰痛以外にも不調が表れます
子宮筋腫が大きくなり過ぎると周囲の臓器を腫瘍が圧迫してしまい、腰痛が起こりやすくなります。
子宮筋腫による腰痛は椎間板ヘルニアや坐骨神経痛などと症状が近いため、検査をして初めて子宮筋腫が見つかることがあります。
ただし椎間板ヘルニアや坐骨神経痛などとは違い、女性特有の不調が見られることがあるので日頃からセルフチェックを怠らず、クリニックでの検査を受けることが大切です。
子宮筋腫による症状は腰痛以外にも、さまざまなものがあります。
出血量が多くレバーのような血の塊が出る、生理が10日以上も続くなどしたら、子宮筋腫による月経過多になっている恐れがあります。
月経過多が続くと貧血になるリスクが高まります。
子宮筋腫によって下腹部に痛みを感じることがあります。
激しく痛むこともあれば鈍い痛みで終わる場合もあり、痛み方には個人差があります。
月経が終わった後に痛みが残ることもあります。
子宮筋腫によるおりものには水っぽいもの、黄色を帯びたもの、血が混じったものなどがありますが、サラサラとした水のようなおりものが大量に出た時は子宮頸がん、子宮体がんなど他の病気が隠れていることがあります。
少しでも気になる症状があれば、すぐにクリニックでの診察を受けましょう。
子宮筋腫は治療することができます
子宮筋腫は決して治らないものではなく、クリニックで治療することが可能です。
腫瘍が小さい・症状が軽い・妊娠を希望するといった場合は、クリニックで腫瘍のできた場所や大きさをよく調べた上で経過観察となることがあります。
子宮筋腫と診断されている方もそうでない方も半年に一度は定期検診を受け、子宮筋腫の発見や治療に備えるようにしましょう。
月経過多などがある場合は、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)を抑えるために、GnRHアゴニストなどを投与して腫瘍がそれ以上成長することを防ぎます。
痛みを伴う場合は鎮痛剤を用いて治療を行い、貧血がひどい場合は造血薬によって改善を試みます。
ただし子宮筋腫が大きく、妊娠しにくい原因となっている場合は施術によって腫瘍を取り除くこともあります。
子宮筋腫であっても妊娠できなくなるわけではありませんが、適切な処置を怠るとあらゆる不調を招き寄せることになります。
女性であれば誰もがかかる可能性があることを心に留め、健やかな妊娠に備えるようにしましょう。
(まとめ)腰痛があると妊娠しにくいの?
腰痛の原因と考えられるものはさまざまですが、子宮筋腫が腰痛を招くことがあります。
子宮筋腫が精子や受精卵の通り道である卵管や、卵管口をふさぐ位置にできると不妊症の原因になると考えられています。
子宮筋腫は良性の腫瘍であり、悪性腫瘍に変わることはほとんどないとされています。
発症した場所によっては妊娠しにくくなることもあり、放置すると10kg以上の大きさになることがあります。
30歳以上の女性の約20~30%が発症するとされています。
子宮筋腫による腰痛は、大きくなった腫瘍が周囲の臓器を圧迫することによるものです。
腰痛以外にも、月経過多・下腹部痛・おりものなどが見られることがあります。
他の病気が隠れていることもあるため、気になる症状があれば早めにクリニックを受診しましょう。
子宮筋腫の治療は症状によって、投薬か腫瘍を切除するかに分かれます。
子宮筋腫になっても妊娠する可能性がなくなるわけではありませんが、早期の発見と治療に繋げるため、クリニックで定期的に検診を受けるようにしましょう。