妊娠しにくい原因のひとつにピロリ菌があります


妊娠しにくい原因にはさまざまなものがありますが、ピロリ菌が妊娠しにくい原因のひとつだったというのはご存知でしょうか。

ピロリ菌の感染と不妊症の関係は男女ともに考えられることで、女性の場合は卵子の受精率が低下し、男性の場合は精子の奇形率が上がることがわかっているのです。

ピロリ菌が発生する毒素が直接関係するわけではありませんが、妊娠しにくい原因のひとつだといえるでしょう。

ピロリ菌が不妊症と関係があるという論文があります

ピロリ菌と妊娠しにくい現認との関係性は、2002年の論文で発表されました。
その研究によると、不妊症の女性でピロリ菌に感染している人の割合は44.8%なのに対し、不妊症でない女性でピロリ菌に感染している人の割合は29.7%という結果がでています。

さらに2009年には日本の研究グループでも、ピロリ菌と不妊症に関係があるという論文が発表されています。
この内容では、多嚢胞性卵巣症候群に対するピロリ菌保有率の調査です。

多嚢胞性卵巣症候群の方は40%の方が保有していたのに対し、対象群では20%でした。
2010年の調査によると、頸管粘液中に検出され、試験官の中で精子の侵入を阻害することもわかっています。

ピロリ菌と不妊症の直接的な因果関係はまだわかってない部分も多いのですが、ピロリ菌保菌者に妊娠しにくい人が多いことは判明しています。

直接的にピロリ菌の毒素でやられるということではなく、間接的に影響があると考えられています。
女性の場合は、ピロリ菌に対する抗体が、精子の運動性を低下すると考えられています。

とくに重要となるのが、CagAというたんぱく質陽性に対するピロリ菌感染の場合です。
CagA陽性のピロリ菌感染では、不妊率がアップするだけでなく、妊娠高血圧症候群のリスクにも関連すると報告されています。

男性の場合でもピロリ菌感染による不妊の問題があるとされており、論文では男性不妊の場合で50.8%の確率で、対象群では36.1%でした。
ピロリ菌の感染では精子に損傷が生まれてしまい、不妊率が上がることが確認されています。

ピロリ菌は胃潰瘍の原因となる病原菌です


ピロリ菌はもともと胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となることが知られている病原菌です。
胃の粘膜に生息しており、小児の頃に感染することが多く、除菌しなければ一生涯胃の中に生育し続けると考えられています。

ピロリ菌に感染しても多くの場合は無症状ですが、胃に炎症が起こりやすく、ときには激しい痛みを伴う胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症します。

さらにピロリ菌の感染を放置すると、胃がんを引き起こす恐れがあることがわかってきました。
実はピロリ菌の感染は、胃の病気だけでなく、全身的な病気とも関係があることがわかってきているのです。

突発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血、糖尿病とも関連があることがわかってきました。

不妊症もピロリ菌が原因となるもののひとつで、意外にも生殖器官の問題以外に妊娠しにくい原因が隠れている可能性があります。

強い酸性の胃の中でもピロリ菌が生育できるのは、ピロリ菌が出すウレアーゼという酵素があるからです。

この酵素の働きによって尿素を分解しアンモニアをつくり出すため、ピロリ菌は胃酸の影響を受けません。
ピロリ菌が出す酵素のせいで胃はアルカリ性となり刺激を受けるわけです。

さらにピロリ菌自体が毒素を発生させ、胃粘膜を傷つけ胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるといわれています。

30代や40代はピロリ菌保菌率が高い世代です

日本でのピロリ菌保菌率は、若い人に少なく、高齢者ほど感染率が高くなっています。
不妊治療世代である30代では15~20%の保菌率で、40代では20%、50代では50%以上と年齢が上がるに従い増加する傾向があるのです。

年齢が上がるほどピロリ菌の保菌率が高いのは、水からの感染源が考えられています。
50代以上の人は子どものころに上下水道が完備されていない地域も多く、水を通して感染したと考えられているのです。

実際に20代では10%以下の保菌率となっています。
ただし、ピロリ菌は人の胃の中に生育しているものです。

そのためピロリ菌を保有する人の胃から菌が上がり、直接子どもに感染するというリスクも考えられます。
胃炎がある方などピロリ菌感染の疑いがある方は、夫婦で調べてもらうことが大切です。

2012年よりピロリ菌に感染した胃炎に対する保険も適用されたため、従来の保険適用基準より幅広い人が治療を受けやすくなりました。
ピロリ菌に感染していることがわかったら、抗菌薬を使い除菌することができます。

必ずしも不妊症の原因はピロリ菌感染のみとはいえませんが、感染している方は除菌することで、妊娠しにくい状況のひとつを改善できると考えられるでしょう。

(まとめ)妊娠しにくい原因はピロリ菌にある?

1.妊娠しにくい原因のひとつにピロリ菌があります

ピロリ菌の感染によって女性の場合は卵子の受精率が低下し、男性の場合は精子の奇形率が増加すると発表されています。

妊娠しにくい問題を抱えている方は確認しておく必要があるでしょう。

2.ピロリ菌が不妊症と関係があるという論文があります

ピロリ菌保有者と不妊症に関する論文が多数発表されています。

女性はピロリ菌感染により精子の運動性を低下させ、男性は精子の損傷が生まれ不妊症になると考えられているのです。

3.ピロリ菌は胃潰瘍の原因となる病原菌です

ピロリ菌は小児の頃に感染することが多く、除菌しなければ一生涯胃の中に生息すると考えられています。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの胃の病気から、全身の病気との関連性も明らかになってきている菌です。

4.30代や40代はピロリ菌保菌率が高い世代です

ピロリ菌は年齢が上がるほど保菌率が高くなっており、不妊治療世代の30代や40代の人は、夫婦でピロリ菌検査を受けるとよいでしょう。

感染が確認されたら除菌することで、妊娠しにくい原因のひとつが改善されるといえます。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師