高プロラクチン血症が原因の不妊でも治療を行うことで妊娠が可能です


不育症の原因の1つが高プラクチン血症です。
しかし高プラクチン血症に対する薬物療法がありますから、治療を開始してプロラクチンの数値が改善できれば妊娠する可能性はあります。

ホルモン分泌に異常がみられていても、それを改善できれば妊娠への影響は少なくなります。
不妊の原因が特定されていれば、治療もしやすいでしょう。

プロラクチンが多いと流産しやすくなるとされています

プロラクチンは産後に必要なホルモンです。
脳下垂体からプロラクチンが分泌されると、乳腺の発達を促して母乳が出るようになります。

母乳育児中は、子供が乳首を吸う刺激でプロラクチンが分泌し続け、高いプロラクチンの濃度になっているのが特徴です。

そして産後に子宮収縮を促し、子宮の回復を促すために役立っています。
プロラクチンが多い時期に新たに妊娠してしまうと、子宮を収縮して流産のリスクが高まってしまうでしょう。

そのためプロラクチンには排卵を抑制する働きもあります。
プロラクチンが高くなるのは授乳中のみで、母乳育児が終われば通常の濃度に低下します。

すると排卵することができるようになり、次の妊娠が可能となるのです。
つまりプロラクチンが高い状態では、排卵が抑制され妊娠しにくくなり、妊娠しても子宮が収縮して流産する可能性があります。

プロラクチンは産後の女性に重要な働きがある一方で、妊娠を希望される方にとっては濃度が高まりすぎると弊害となります。

授乳中ではないのにプロラクチンが高くなりすぎるのが、高プラクチン血症です。
なんらかの問題によりホルモンが過剰に分泌されています。

高プラクチン血症の原因は判明していない部分が多いと言います


高プラクチン血症の原因はさまざまなものが指摘されていますが、多くの場合は原因不明だとされています。

プラクチンが高くなる原因の1つが、脳の下垂体にできる腫瘍です。
20~30代女性に多く見られており、良性の腫瘍が多くなっています。
妊娠中でもないのに乳汁が出る場合は注意してみましょう。

大きな腫瘍は摘出手術が必要で、それ以外は薬物療法で治療ができます。
脳の視床下部に腫瘍ができる場合も、高プラクチン血症となります。
ほかにもストレスによりホルモン分泌が調節できず、プラクチンの分泌が多くなる場合もあるでしょう。

腫瘍が原因ではない場合、薬物療法でプラクチンの分泌量を低下させることができます。
ほかにもピルなどの薬を長期間服用し続けると、高プラクチン血症となることがあります。

薬が原因であれば服用を中止し、それでも下がらなければプラクチンを低下させる治療が必要です。
高プラクチン血症は、流産や中絶でも影響が出ることがあります。
甲状腺機能低下症でもプラクチンが高くなることもあるため、確認してもらいましょう。

高プラクチン血症に対する治療方法があります

高プラクチン血症だと診断されても、薬によりプラクチンを下げる対策があります。
腫瘍がないときの治療方法は、薬を飲む方法です。

以前はパーロデルやテルロンという薬がありましたが、今はカベルゴリンという薬の服用が一般的です。

これらはプロラクチンを下げるための薬で、服用を続けていくことで正常値に近づけることができます。

薬を服用していると、吐き気や便秘がおこることがあります。
カベルゴリンは空腹時に飲むと気分が悪くなりやすいため注意しましょう。

プロラクチンの値によって薬の服用量を調節していきます。
数値が高ければ5日ごとに1回の服用や、7日ごとに1回の服用です。

薬を服用して2ヶ月くらいで排卵が認められるようになります。
定期的に血液検査をしながら、プロラクチンが正常値になるよう調節していきましょう。

プロラクチンが正常値に下がれば、妊娠できる可能性が高まります。
服用を途中で止めると数値が戻ってしまうことがあるため、妊娠を希望される方は医師の指示にしたがって服用してください。

カベルゴリンは妊娠が確認されたら服用を中止するのが一般的です。

しかし妊娠中に服用していても、生まれてくる子供に先天異常が多いという報告はないため、心配することはありません。

(まとめ)高プロラクチン血症が原因の不妊でも妊娠できる?

1.高プロラクチン血症が原因の不妊でも治療を行うことで妊娠が可能です

不育症の原因の1つが高プラクチン血症です。

しかし薬物療法で数値が改善できれば、妊娠する可能性はあります。
ホルモン分泌の異常を改善できる治療を開始し不妊を解消してみましょう。

2.プロラクチンが多いと流産しやすくなるとされています

プロラクチンは授乳中に必要なホルモンですが、授乳中でもないのに分泌量が多くなってしまうことを、高プラクチン血症といいます。

高プラクチン血症では妊娠しにくく、妊娠しても流産しやすい状態です。

3.高プラクチン血症の原因は判明していない部分が多いと言います

高プラクチン血症の原因は、脳の下垂体や視床下部の腫瘍が原因のことがあります。

ストレスや薬物の影響、流産や中絶から発症することもあるでしょう。
甲状腺機能低下症も疑ってみてください。

4.高プラクチン血症に対する治療方法があります

高プラクチン血症だと診断されたら、カベルゴリンという薬を服用します。

飲み続けると数ヶ月でプロラクチンが低下し、排卵が認められて妊娠が可能となるでしょう。
副作用のことも考えながら服用量を調節します。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師