チョコレート嚢胞は不妊の原因の1つです


子宮内膜症は妊娠可能な女性のうち3~10%の割合で発症する、珍しくない疾患です。
軽症であればとくに問題はないのですが、子宮内膜症が重症化するとチョコレート嚢胞となり、それが不妊症の原因となる可能性があります。

チョコレート嚢胞となれば外科手術が必要となり、今後の不妊にも影響する可能性があるでしょう。
妊娠を希望される方は、不妊対策にも精通した医師に診てもらう必要があります。

子宮内膜症やチョコレート嚢胞で妊娠しにくくなります

軽症の子宮内膜症であっても不妊と結びつく可能性があり、症状が進行してチョコレート嚢胞になっても不妊症になるリスクがあります。

子宮内膜症になると、臓器同士がくっつき癒着をおこしやすくなります。
すると卵巣や卵管が正常な働きをおこすことができず、卵巣から排卵しても卵管がそれをキャッチできない場合や、卵管が閉塞して受精にいたらないこともあるためです。

さらに子宮内膜症はサイトカインという化学物質が多くなりやすく、サイトカインによって、卵巣・卵管・子宮の機能が低下してしまう可能性があります。

子宮内膜症はプロスタグランジンという筋肉を収縮させる物質も発生しやすく、ピックアップ障害や、子宮が収縮して流産をおこしやすいとされています。

炎症が強い状態では、白血球のマクロファージが増加し、精子を食べてしまうため、受精しにくくなるともいえるでしょう。

チョコレート嚢胞になると、卵巣内で卵胞が成熟しにくくなります。
そのため排卵のための働きが失われていき、排卵しなければ妊娠しにくくなると考えられるでしょう。
子宮内膜になっても必ずしも不妊となるわけではなく、子宮内膜と上手に付き合いながら妊娠された方もいます。

しかしチョコレート嚢胞となり重症化した場合は、卵巣内のチョコレート嚢胞を切除しなければならず、その後の妊娠率を考えておく必要があります。

子宮内膜症やチョコレート嚢胞でも不妊治療が可能です


子宮内膜症やチョコレート嚢胞になっても、妊娠がまったく望めないというわけではありません。
これらの症状に対し不妊治療法もあります。

軽症の子宮内膜症の段階では、検査を利用しながら一般的な不妊治療をしていきます。

ほかに不妊の原因が見つからず不妊治療を6ヶ月経過しても妊娠しなければ、腹腔鏡を使って癒着の剥離や、腹水の吸引などの処理をすると、妊娠率が高まる可能性があるでしょう。
子宮内膜症の癒着が複数があると炎症物質が発生し、それが不妊の原因となると考えられているためです。

腹腔鏡での処置をしてから再び一般の不妊治療を開始します。
それでも妊娠しなければ、体外受精や顕微授精へとステップアップしていきましょう。
チョコレート嚢胞を認めている場合では、早めの腹腔鏡による処置を考える必要があります。

腹腔鏡によりチョコレート嚢胞を切除し、卵巣や卵管の癒着があれば剥離していく治療内容です。
卵巣や卵管の状態が良ければ、チョコレート嚢胞の術後でも妊娠できる可能性はあります。

一般不妊治療から開始し、それでも妊娠できないようであれば、体外受精や顕微授精へとステップアップしていきましょう。

チョコレート嚢胞は再発に注意が必要です

チョコレート嚢胞で問題となるのが、術後の再発です。
再発予防のために、術後は黄体ホルモン療法を検討しておきましょう。

黄体ホルモンを服用している間は無月経となるため、妊娠を希望される方は医師に相談して服用期間を調節してもらってください。

黄体ホルモンがなぜチョコレート嚢胞の予防になるのかというと、エストロゲンが子宮内膜症の発症に関与しているからです。

エストロゲンが作用していると子宮内膜が増殖しやすく、黄体ホルモンはエストロゲンの作用を抑えるため、子宮内膜症の予防に役立ちます。

黄体ホルモンの服用は、月経血の腹腔内への逆流を防ぐためにも役立つ治療です。
子宮内膜症になっていない場合でも、多くの場合で月経血はお腹への逆流がみとめられています。

月経血がお腹に入り込むことで子宮内膜症やチョコレート嚢胞が発症すると考えられています。
チョコレート嚢胞で腹腔下の処理をする際に子宮内膜焼灼術も同時に取り入れることで、月経量が減りお腹への逆流が軽減されるでしょう。

黄体ホルモン療法でも逆流が少なくなり、再発予防に役立ちます。

投与は少量で済み、服用を止めれば月経も始まるため、妊娠を希望される方の治療としても活用できるでしょう。

(まとめ)チョコレート嚢胞は不妊の原因となりますか?

1.チョコレート嚢胞は不妊の原因の1つです

子宮内膜症が重症化するとチョコレート嚢胞となり、それが不妊症の原因となります。

チョコレート嚢胞は手術が必要な疾患で、その後の妊娠のことを考えるなら、不妊治療に精通した医師に診てもらう必要があるでしょう。

2.子宮内膜症やチョコレート嚢胞で妊娠しにくくなります

子宮内膜症になれば卵巣や卵管が癒着しやすくなり、サイトカインやプロスタグランジンという物質の影響により、不妊につながる可能性があります。

チョコレート嚢胞では卵胞が成熟しにくくなり、重症化すれば切除が必要です。

3.子宮内膜症やチョコレート嚢胞でも不妊治療が可能です

子宮内膜症があって不妊となっているなら、腹腔鏡を使って癒着や腹水を取り除きます。

チョコレート嚢胞がある場合は、早めに腹腔鏡による切除や、癒着の剥離を考えましょう。
どちらも一般不妊治療で妊娠しなければ、ステップアップ治療が必要です。

4.チョコレート嚢胞は再発に注意が必要です

チョコレート嚢胞はしばしば再発しやすいため、再発防止のために黄体ホルモン療法を検討しておきましょう。

月経を止める治療法ですが、服用を止めれば月経が開始し妊娠は可能です。
黄体ホルモンでエストロゲンの作用を抑えることができます。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師