ピロリ菌に感染すると不妊治療の効果が出にくいと考えられています


不妊症を招く原因はいくつもありますが、ピロリ菌の感染についても不妊症の原因の1つであると考えられています。

ピロリ菌に感染すると女性の体内に入った精子の動きが悪くなり、卵子と出会っても受精しにくくなることがわかっています。

感染したまま不妊治療を行っても妊娠する確率は低下してしまうので、クリニックではピロリ菌を保有したままの不妊治療を勧めていません。

不妊症とピロリ菌に関連性があることは論文によって報告されており、不妊症の原因となるだけでなく、妊娠後の母子感染の危険性も指摘されています。

不妊治療を考える世代の20%以上がピロリ菌を保有していると言われています

日本でのピロリ菌保有率は比較的高く、年代が上がれば上がるほど保有率が上がりますが、20~30代の世代では20%以上の人がピロリ菌に感染していると言われています。

ピロリ菌は年代や性別を問わず、誰もが感染する可能性のある細菌です。
不妊治療の妨げとなるピロリ菌ですが、感染によって引き起こされる症状の違いを性別ごとに見てみましょう。

女性がピロリ菌に感染した場合

ピロリ菌に感染した女性はピロリ菌に対抗する抗体を持ちますが、この抗体が卵子と精子の受精を阻害してしまいます。
精子が子宮頸管内にたどり着いても頸管粘液が精子の運動性を低下させるので、妊娠する確率は低下します。

妊娠した女性がピロリ菌に感染すると、赤ちゃんの命にも関わる妊娠高血圧性腎症の発症率が高くなります。

男性がピロリ菌に感染した場合

男性がピロリ菌に感染すると、精子の形成に影響を及ぼすとされています。
精子の奇形や、変質・運動率の低下・寿命が短くなるなど、不妊症を招く原因となります。

ピロリ菌に感染すると不妊治療を行っても、絶対に妊娠できないというわけではありません。
しかしピロリ菌は妊娠する可能性を低下させ、ハイリスク妊娠につながる恐れがあります。

ピロリ菌は主に胃の病気を引き起こします


ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が作り出すウレアーゼなどの物質が胃の粘膜を傷つけます。
人間の身体はピロリ菌から胃を守ろうとして白血球を胃に集め、免疫反応でピロリ菌を攻撃します。

この免疫反応によって胃の粘膜に炎症が起こり、炎症がある状態が長く続くことで胃にさまざまな病気をもたらします。
ピロリ菌が引き起こす胃の病気には胃潰瘍や、十二指腸潰瘍・慢性胃炎・重篤なケースでは胃がんなどがあります。

正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」ですが、「ヘリコ」は螺旋や旋回という意味と持つ言葉です。
ピロリは胃の出口である「ピロルス」からきており、この正式名称はピロリ菌の特徴をよく表しています。

ピロリ菌は螺旋状の形をしていて胃の粘膜に棲みついており、胃酸に触れても死滅することがありません。
ウレアーゼによって胃の中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、アンモニアで酸を中和することで長きにわたって生息します。

不妊治療を始める前にピロリ菌の検査をすると安心です

ピロリ菌に感染すると妊娠できないというわけではありませんが、さまざまなリスクが判明している以上、夫婦そろって検査を受けると安心です。

不妊治療を始める前に、医師から人間ドックを勧められる場合もあります。
ピロリ菌の感染ルートは明確になっておらず、予防法についてもいまだ確立されていません。

つまり検査をしてピロリ菌の有無を確認し、感染している場合は適切な治療を受けることが大切であると言えます。
ピロリ菌について不安がある場合は、不妊治療を専門とするクリニックで検査の必要性について尋ねてみましょう。

ピロリ菌の治療は「除菌」と呼ばれ、この治療を受けることでピロリ菌が関連するさまざまな病気を改善できることがあります。

除菌は内服薬による治療となるため、服薬によるアレルギーを起こした経験があると除菌できないケースもあります。
感染者に対して除菌することが求められていますが、医師と相談しながら今後の不妊治療に備えましょう。

(まとめ)ピロリ菌に感染すると不妊治療の効果がない?

1.ピロリ菌に感染すると不妊治療の効果が出にくいと考えられています

ピロリ菌に感染すると女性の体内に入った精子の動きが抑制され、受精しにくくなることがわかっています。

このことから不妊治療を行う際にピロリ菌を保有していると妊娠する確率が低くなるとされ、不妊治療の効果が出にくいと言われています。

2.不妊治療を考える世代の20%以上がピロリ菌を保有していると言われています

日本でのピロリ菌保有者は比較的多く、不妊治療を考える世代の20%以上が感染していると推測されています。

ピロリ菌は女性が感染すると精子の運動を抑制し、男性が感染すると精子の異常を起こしやすくなります。
またハイリスク妊娠につながる恐れもあります。

3.ピロリ菌は主に胃の病気を引き起こします

ピロリ菌はウレアーゼなどの物質を作り出し、感染者の胃の粘膜を傷つけて胃の病気を引き起こします。

胃酸に触れても死滅せず、胃の中の尿素から作りだしたアンモニアで酸を中和して生息し続けます。

4.不妊治療を始める前にピロリ菌の検査をすると安心です

ピロリ菌の検査は人間ドックによって行われ、不妊治療をする前に医師から検査を勧められる場合があります。

検査は必ず夫婦そろって受けるようにし、ピロリ菌によるハイリスク妊娠の予防をしましょう。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師