不妊治療の保険適用 対象治療法や対象者は?

2022年01月21日 更新
厚生労働省は、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、2021年12月15日に来年度からの保険適用の対象を拡大する方針で新たに保険適用する不妊治療の治療法や対象者などについて考え方を示しました。

対象の治療法は?

現在は不妊の原因を調べるエコー検査・血液検査や、不妊の原因となる症状が見つかった場合の薬や手術による一部の治療、薬や注射で排卵を促す「排卵誘発法」などに保険適用の対象が限られています。

今回の議論では、日本生殖医学会が不妊治療の標準的な治療法などをまとめたガイドライン内で、3段階の評価のうち「推奨度A」または「推奨度B」と評価された治療法について、原則として保険適用とすると示しました。

具体的な対象(一例)は次の通りです。
  • 人工授精:精子を取り出し、妊娠しやすい時期に子宮内に注入する治療
  • 体外受精:体外に卵子を取り出し、精子と一緒にして受精させたあと子宮内に戻す治療
  • 顕微授精:注射針などを使って直接卵子に精子を注入する治療 など
ガイドラインで「推奨度C」と評価された治療法や、ガイドラインに掲載されていない治療法については、原則として保険適用外としつつ、医療機関からの申請があれば「先進医療」と位置づけ、順次、審議を進めるとしています。

体外受精でできた受精卵の染色体に異常が無いかなどを調べる「着床前検査」については、ガイドラインでは「推奨度B」と評価されていましたが、対象とするのは困難との見通しを明らかにしました。
例外的に保険診療と併用が可能な「先進医療」の承認を目指す方針を取るとしています。

対象者は?

対象者は、不妊症と診断された男女で、治療開始時点で女性の年齢が43歳未満であることを条件とし、40歳未満の場合は、子ども1人につき最大6回まで、40歳以上43歳未満の場合は、最大3回まで適用するとしています。
また、事実婚の男女についても保険適用の対象とするとしています。

現在の助成制度はどうなるのか?

厚生労働省は、これまで治療を受けていた人が、引き続き治療を受けられるようにすることが望ましいとしています。
そのため、現在の助成制度は、今年度末で終了しますが、今年度中に開始し、来年度をまたぐ不妊治療については、1回に限って今の助成金の対象とする経過措置を設けることにしています。
出典:厚生労働省 先進医療における不妊治療の対応について(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000866793.pdf