体外受精における性別の産み分けは技術上は可能といえます


体外受精において、性別の産み分けを行うことは技術のうえでは可能です。
着床前診断を行い受精卵の段階で性別を調べてから移植を行えば、希望する性別の赤ちゃんを妊娠できる可能性が高くなるからです。

しかしこの方法は命を選ぶという倫理上の問題から、日本国内で行うことはできません。
実際に体外受精で確実な男女の産み分けはできないということになります

確実な性別の産み分けを体外受精で行うことはできません

子供の性別は受精したときに決まるといわれています。
人間の遺伝情報が記されている染色体は23組あり、23組目に性別の情報が記されています。

X染色体とY染色体があり、この組み合わせによって性別が決まるとされます。
女性の場合はXX、男性の場合はXYとなっています。

女性の卵子にはX染色体のみがあり、男性の精子にはX染色体を持つものとY染色体を持つものがあるとされます。
そのため、X染色体を持つ精子で受精すると性別を決める染色体はXXになり、Y染色体の場合はXYになると考えられています。

そして体外受精では男児が多く生まれるという話があります。
自然妊娠と比べた場合に、本当に男児の方が多くなるのでしょうか。

自然妊娠の場合でも男児と女児の比率を見ると、男児は52%、女児は48%と、男児の方がやや高いといわれています。
そのため、自然妊娠と同じような男女比で妊娠するのなら、体外受精もやや男児の確率が高いということができます。

体外受精だから特別に男児の妊娠率が高まるということはないでしょう。
ただしこれは統計学的なデータをもとにしたものであり、体外受精で生まれる子供の男女比については、医学的な因果関係はまだ研究段階だといわれています。

着床前診断による性別の産み分けは日本では禁止されています


体外受精の場合、着床前診断で受精卵の染色体を調べてから胚移植を行えば、理論上高い確率で性別の産み分けを行うことが可能といえます。
しかし実際のところ、着床前診断による産み分けを日本では禁止されています。

これは受精卵の性別によって妊娠するかを選ぶということが、倫理的な問題に繋がるからです。
もともと着床前診断とは、受精卵の染色体などに異常がないかを調べるものです。

着床させるまえに調べることで、妊娠後の検査で子供への異常が判明して産むかどうかの選択を迫られるリスクを減らすことができます。
また羊水検査を行うことによる、流産のリスクを下げることにも繋がるとされます。

染色体の異常で流産しやすいものを避けることもできると考えられています。
こういった目的であっても、日本では基本的には着床前診断が認められていません。

受精卵の時点で命があり、それを選択することが問題視されてしまうからです。
最近では、重度の染色体異常や流産のリスクが高いものを避ける目的であれば、着床前診断が認められつつあります。

パーコール法で女児の妊娠率が高くなります

パーコール法を行うと女児の妊娠率が高くなるといわれているのは、X染色体を持つX精子とY染色体を持つY精子の比重の違いにあります。
パーコール法というのは、本来の目的として受精の可能性が高い元気な精子を取り出すために行われる方法です。

精子をパーコール液という液体に入れて遠心分離器にかけると、元気な精子だけが下の方に溜まるといわれています。
それを取り出して使うことで、受精する確率が高くなると考えられています。

X精子とY精子では比重はX精子の方が重いとされ、パーコール法を行って下に溜まっている精子はX精子が多いと考えられます。
X染色体を持つ精子と受精することで性別が女性となります。

そのことからパーコール法を行うと、女児の妊娠率が高くなるといわれているのです。
実際のところ成功率としては、100%確実なものではありません。

高い確率であるとはいわれていますが、正確な統計データはない状態です。
パーコール法をXY精子選別のために行うことは、以前は原則として認められていませんでした。

しかし2006年になり、日本産婦人科学会は安全面に関して、問題のある事例の報告はないとしています。
ただし日本産婦人科学会によると、産み分けの目的として行うことを良しとしたわけではないようです。

パーコール法は日本国内で行える産み分けの手段となりますが、産み分けのために行っているかは病院によっても異なり、病院側の判断に任せているのが現状といえそうです。

(まとめ)体外受精は性別の産み分けができる?

1.体外受精における性別の産み分けは技術上は可能といえます

技術のうえでは受精卵を選択し性別の産み分けを行うことができます。

しかし実際に体外受精の受精卵を事前に検査し、選り分けすることは、日本ではできません。
そのため、体外受精で確実な性別の産み分けはできないということになります。

2.確実な性別の産み分けを体外受精で行うことはできません

体外受精では男児が多く生まれるという説がありますが、医学的な因果関係は証明されていません。

統計的なデータをもとにして考えた場合、体外受精でも自然妊娠でも、男児が生まれる比率の方が高いとはいえます。

3.着床前診断による性別の産み分けは日本では禁止されています

子供の性別を決める遺伝子の情報を、受精卵の状態で調べることで性別の産み分けを行うことは可能です。

しかしこれは命を選別することになり、日本では原則行うことができません。

4.パーコール法で女児の妊娠率が高くなります

パーコール法はX精子がY精子よりも重いことを利用した産み分け法のひとつです。

本来は元気な精子を選び出し、妊娠率を高めるために用いられるものです。
遠心分離を行い、比重の重いX精子を取り出すという方法になります。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師