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葉酸は造血や細胞分裂のほか、妊娠中にも効果的とされています
葉酸は人間の全身、あらゆるところで働く栄養素です。人体の細胞一つひとつの合成に関わるほか、全身を巡る血液にも関係しています。
さらに妊娠中には赤ちゃんに対して特別な働きをすることで有名です。葉酸は血液や細胞分裂に関わることから、間接的にあらゆることに影響を及ぼしています。
妊婦になると必要量が増加するため、意識して摂取したい栄養素です。
葉酸は造血のビタミンと呼ばれています
葉酸は、名前からはわかりにくいもののビタミンB群の1つです。ほうれん草の中から見つかったために葉酸という名前がつきました。
この葉酸の、とくに有名な効果が造血補助作用であり、「造血のビタミン」と呼ばれることもあります。血液の中に含まれる、赤血球を作るのを助けるのが主な葉酸の役割です。
また他の栄養素と協力して白血球を作るサポートをすることもあります。赤血球は酸素を運ぶために欠かせないため、葉酸を積極的に摂取することで、体内の臓器などが活発に動くようになると考えられています。
もちろん、妊婦の場合は妊婦自身の健康が保たれることで、お腹の赤ちゃんの生育にも影響するでしょう。
また赤血球に関わることから貧血防止にも効果的と言われています。赤血球は鉄を材料とするため、貧血防止というと鉄の補充が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
実際にとくに妊婦の場合に、貧血の原因は9割は鉄不足だと考えられています。しかし葉酸や、葉酸と協力して赤血球の生産に関わるビタミンB12も不足すれば赤血球を合成できず貧血になってしまうのです。
ふらついたり、息切れしたりするなど貧血気味の症状がある時は、鉄だけでなく葉酸やビタミンB12の補充も忘れないようにしたいものです。
葉酸は妊娠前~初期にかけて特別な効果があります
葉酸は妊婦にとって、とくに大切な栄養素であると考えられています。葉酸は妊娠初期において、赤ちゃんの発達に欠かせない特別な役目を持っているのです。
それが先天異常の防止です。造血のビタミンと呼ばれる葉酸ですが、造血作用以外に細胞の分裂にも深く関わっています。
細胞が分裂するということは、もとの細胞から遺伝子情報などをコピーして分身を作り出すという作業です。正しくコピーできなければ、細胞分裂に失敗してしまうことや、情報のおかしい細胞が増えてしまうことになるでしょう。
葉酸は細胞分裂のときに不可欠なサポートを行う栄養素なのです。
葉酸が司るのは主に核酸など、遺伝子情報の詰まったDNAの合成に関する部分です。そして細胞分裂がとくに活発な時期とされるのが、お腹の赤ちゃんが形成されていく妊娠のごく初期の段階です。
赤ちゃんがお腹の中で大きくなっていくにあたり赤ちゃんは細胞分裂を繰り返します。この時葉酸がサポートしてくれることで、赤ちゃんが染色体異常など、細胞分裂に失敗するリスクを低く抑えることができると考えられています。
主に、葉酸がリスクを下げてくれるのは、神経管閉鎖障害と言われる先天異常です。この神経管閉鎖障害は妊娠のごく初期に起きるため、妊娠前からすでに葉酸を意識して摂取しておくことで、そのリスクを大きく下げてくれるとされています。
葉酸は出産後にも役立ちます
普段は血液を作るのに役立ち、妊娠時は赤ちゃんの先天異常も防止してくれるという葉酸は、実は出産後にも母親にとってよい効果があるとして知られています。たとえば母乳です。
母乳は血液から作られているため、造血のビタミンである葉酸を摂取することで、母乳の出がよくなることが期待できます。また出産でダメージを受けた子宮の環境を整えてくれたり、美肌に役立ったり、妊娠・出産で自律神経が乱れた場合でも、その乱れを整えてくれると言われているのです。
とくに妊娠出産でストレスを抱えていたり、うつに陥ってしまっていたりする人にとっては相性のいい栄養素となるでしょう。また造血作用に関わることから、血流改善に役立つ可能性もあります。
血流が改善していけば、血行不良が原因で起こるさまざまな症状の緩和も期待できるでしょう。
葉酸は生きていくのに必要不可欠でありながらも、体内では作ることのできない栄養素です。そのため食事やサプリメントから摂取するしかありません。
葉酸は通常時、妊娠前・妊娠中・出産後と、妊娠計画を立てる女性の強い味方となってくれます。意識して摂取していくようにしましょう。
(まとめ)葉酸の効果ってどんなもの?
葉酸は造血作用や細胞分裂に関わることから、全身のあらゆる部分、あらゆる症状に間接的に関係しています。また妊娠中は赤ちゃんに対して葉酸ならではの働きをしてくれるとされています。
妊娠すると必要量が増加するため、意識して摂取していきましょう。
葉酸はビタミンB群の1つで、造血のビタミンと呼ばれ、赤血球を作る働きをサポートします。赤血球が増えることで貧血防止や、臓器等の正常な活動、ひいては赤ちゃんの健康にも役立つでしょう。
鉄などと一緒に摂取するのが効率的です。
葉酸は妊娠中、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを大きく下げてくれることで知られています。正常な細胞分裂を助ける働きから、赤ちゃんが大きく発達するためにも必要です。
妊娠初期にはよく摂取しましょう。
葉酸は造血に関わることから、出産後も、母乳の出に影響します。また子宮回復や美肌、自律神経のコントロール、血行改善などにも役立つと考えられています。
葉酸は体内で生産できないため、食事やサプリメントからの摂取が必要です。