胎児の先天異常防止のため、妊婦は葉酸を摂る必要性があります


妊娠中は多くの栄養素を摂取する必要があることから、葉酸も単なるその1つに過ぎないと考えている人もいるかもしれません。しかし葉酸は妊娠初期において赤ちゃんの先天異常を防止するという、大切かつ独特な役割を果たします。

妊娠初期においては、他の栄養素よりとくに意識して摂取していくことで、赤ちゃんの健康に繋がるでしょう。

葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぎます

葉酸が妊婦に重要な栄養素としてとくに名を挙げられるのは、数ある栄養素の中でも葉酸だけが、赤ちゃんの神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを下げてくれると言われるからです。葉酸は細胞分裂の際、核酸などDNAの合成に関わる栄養素です。

DNAといえば、遺伝子情報が詰まった部分であり、細胞の基礎ともいえる部分にあたります。細胞分裂の際にDNAがうまく合成されなければ、細胞分裂もうまく行かず、赤ちゃんは大きくなれなかったり、あるいは今作られている部分に影響が出てきてしまったりもするでしょう。

葉酸を摂取することで、細胞分裂がうまくいきやすくなります。そのために防止できると言われる先天異常が神経管閉鎖障害なのです。

神経管閉鎖障害となると流産してしまったり、生まれた子供が歩けなくなったりすることもある可能性もあります。葉酸を意識して摂取するだけで、この神経管閉鎖障害になるリスクを50~70%減らせるとなれば、摂取しない手はないといってよいでしょう。

この先天異常が起こるのは妊娠4~5週と言われています。妊婦になったらすぐ摂取し、妊娠3ヶ月目くらいまで葉酸を意識しておく必要性があります。

葉酸は赤ちゃんの健やかな成長に必要です


葉酸が細胞分裂に関わるという点から、先天異常を防ぐだけでなく、赤ちゃんがよく育つためにも葉酸が大切になります。実際に葉酸欠乏気味の妊婦から生まれた赤ちゃんは、低体重になってしまったり、あるいは早産、流産のリスクが高まってしまったりする可能性が指摘されています。

赤ちゃんを、出産するのに十分なサイズまで育てるためにも、意識して葉酸を摂取していく必要性があるでしょう。

先天異常を防ぐ目的から、葉酸は妊娠初期の摂取がとくに重用視されています。しかし赤ちゃんの成長という点から見れば、葉酸は初期を過ぎた後もずっと必要な栄養素です。

初期ほどまではいかずとも、不足しないよう注意しておきましょう。とくに食事のみで葉酸を摂取しようとすると妊婦にとって葉酸は不足しやすくなります。

ちなみに葉酸は摂取しすぎると、今度は生まれた子供の小児ぜんそくのリスクを高めてしまうとする研究報告もあるため、不足しすぎず、かつ過剰にならない量が大切です。

葉酸は母体の健康にも役立ちます

お腹の赤ちゃんだけでなく、葉酸は妊婦本人の健康を守るのにも貢献します。葉酸は造血のビタミンと言われ、赤血球を作る働きがあるために、貧血防止に効果的とされているのです。

妊婦における貧血自体は、全体の9割が鉄不足に由来するものと考えられています。しかし残りの貧血は葉酸や、葉酸と協力して赤血球の生成を助けるビタミンB12などの不足が原因となるものです。

妊娠すると母親は赤ちゃんに栄養を送るために血液量が1.4倍にもなり、一方で赤血球の生産が追いつかなくなってしまいがちになります。葉酸を摂取することで血液量に見合う赤血球を作るのに役立つでしょう。

また葉酸は産後も、母乳の生産、出産でダメージを受けた子宮の回復、肌荒れの修復、精神的安定などで必要になると言われる栄養素です。妊娠したその瞬間から、出産後まで、葉酸が不足しないよう気をつけていきましょう。

もっとも葉酸だけ摂っていればいいというわけではありません。葉酸の必要性がもっとも高まるのは妊娠初期であるため、初期だけはたしかに葉酸を意識する必要があります。

しかし初期を過ぎたら葉酸だけに固執せず、葉酸を含む各種の栄養素をまんべんなく摂取することが大切です。

(まとめ)妊婦が葉酸を摂取する必要性ってどんなものなの?

1.胎児の先天異常防止のため、妊婦は葉酸を摂る必要性があります

葉酸は単なる栄養素として望まれているわけではなく、赤ちゃんの先天異常を防ぐという独自の役割を持っています。そのため妊娠初期はあえて葉酸を他の栄養素よりも優先して摂取することが大切なのです。

2.葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぎます

葉酸が防ぐと言われる先天異常が神経管閉鎖障害です。神経管閉鎖障害は赤ちゃんが流産することもある重大なものとなります。

妊娠4~5週頃に起こると言われるため、当該期間はもちろん妊娠3ヶ月目くらいまでは意識して葉酸を摂取する必要があるでしょう。

3.葉酸は赤ちゃんの健やかな成長に必要です

先天異常を防ぐほかにも、低体重で流産、早産となってしまうリスクを下げるなど、赤ちゃんの成長を助けるために葉酸は大切な存在となります。過剰摂取すると小児ぜんそくになりやすいという指摘もあるため、過不足ない摂取が重要です。

4.葉酸は母体の健康にも役立ちます

葉酸は妊婦の貧血を防止したり、母乳を作ったり、子宮を回復したり、またメンタル面でのケアなどにも役立つといわれる栄養素です。赤ちゃんだけでなく妊婦本人にもさまざまな恩恵があります。

葉酸を含む各種の栄養素をよく摂取していきましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師