葉酸が足りないと、妊婦はもちろん赤ちゃんにもリスクがあります


妊婦にとって、葉酸は欠かせない栄養素です。葉酸が必要十分に摂れていないと、赤ちゃんに栄養を送る必要のある妊婦の栄養が足りず、妊婦はもちろん赤ちゃんにも影響が出てきます。

とくに葉酸は妊娠初期に赤ちゃんの先天異常を防止するという、葉酸独自の役目があります。葉酸の摂取量はもちろん、摂取時期にも十分に気をつけていきましょう。

葉酸は妊婦や赤ちゃんの健康に欠かせない栄養素です

葉酸はビタミンB群の1つで、もっとも有名な効果としては造血補助作用があるとされています。ビタミンB12と並んで赤血球などを作るのに関わるため、赤ちゃんに栄養を送るために血液を使う妊婦には欠かせない栄養素と言えます。

またもう1つ葉酸の重要な作用として、細胞分裂の際にDNA合成を助ける役割があります。細胞が分裂する時、細胞の一つひとつには遺伝子情報がコピーされていきますが、葉酸が十分にあることでこのコピーが失敗しにくくなるなど、さまざまなことに役立つと考えられているのです。

赤ちゃんは細胞分裂を繰り返して大きくなっていくため、葉酸があることでスムーズに赤ちゃんが成長する助けとなるでしょう。

そしてご紹介した2つのほかに、葉酸が妊婦に必要とされるもっとも大きな理由があります。それが葉酸が赤ちゃんの先天異常が起きるリスクを下げてくれるという点です。

葉酸は妊娠のごく初期、6週末までの間にしっかり摂取しておくと、赤ちゃんが神経管閉鎖障害を起こすリスクを50~70%も減らすと言われています。このように葉酸は妊婦にとっても赤ちゃんにとっても大切な栄養素であるため、必要な時期に必要量が体内にあるよう、継続して摂取していかなければなりません。

葉酸が足りないことで、いくつかのリスクがあります


葉酸の作用を考えていくと、葉酸が不足した場合にどんなリスクがあるのかがわかってくるはずです。たとえば造血作用に関わる葉酸が不足すれば、血液が不足するために赤ちゃんに栄養が送られにくくなってしまうでしょう。

実際に葉酸が不足することで、赤ちゃんが低体重で生まれてきてしまう場合や、最悪は流産してしまうリスクも指摘されています。また出産後も血液を使って母乳を作るため、母親の葉酸摂取量が足りないと、母乳の出が悪くなったり、赤ちゃんの生育に影響が出たりする可能性もあります。

そして赤ちゃんの先天異常に関しても葉酸の欠乏はよくありません。葉酸が防ぐと言われる神経管閉鎖障害は、赤ちゃんが流産してしまうこともある重大なものです。

葉酸はあくまでリスクを下げるもので、また多少欠乏していたからといって必ずしも異常がでるとは限りません。しかし実際に1万人に6人ほどの確率で神経管閉鎖障害が出てきてしまう赤ちゃんがいるため、リスクは下げるに越したことはないのです。

時期を過ぎてしまった場合は仕方ありませんが、妊娠したらできるだけ早く、できれば妊娠前から葉酸を摂取するよう意識しましょう。

葉酸が足りなくなることにはいくつかの原因があります

葉酸は、葉物野菜に多く含まれていて、普段の食生活ではあまり不足しないと言われている栄養素です。推奨されている摂取量の目安は1日に240µgですが、日本人の平均の摂取量は300µgほどとされています。

そのこともあり、普段はあまり意識されない栄養素でもあるでしょう。

しかし妊娠するとこの必要摂取量が480µgと2倍になり、食事だけでは足りなくなります。とくに妊娠初期の段階では、さらに多くの葉酸が必要となるため、体内に貯蔵しておけない葉酸は余計に不足しがちです。

さらにもう1つ葉酸が不足する大きな原因が喫煙です。実は、喫煙をするとニコチンなど有毒物質のために、葉酸が大量に失われてしまいます。

喫煙の習慣がある場合でも、妊娠がわかればやめる人が多いでしょう。しかしどうしても禁煙できない人、あるいは妊娠が発覚するのが遅く、初期の段階で妊娠に気づかず喫煙を続けていた人は、やはり葉酸が不足してしまいがちになります。

葉酸はサプリメントでも摂取することができるため、食事だけでなくサプリメントも併用して、必要な摂取量を守っていくことが大切です。心配な場合は医師に相談してから、自分に必要な摂取量や摂取時期を見極めるのもよいでしょう。

葉酸は妊娠前から出産後まで継続して必要になる栄養素です。しっかり意識していきましょう。

(まとめ)葉酸が足りないと妊婦はどうなるの?

1.葉酸が足りないと、妊婦はもちろん赤ちゃんにもリスクがあります

葉酸は、足りないと妊婦にも赤ちゃんにも影響が出てくる栄養素です。とくに妊娠初期に葉酸は赤ちゃんの先天異常のリスクを下げる独自の役割があるため、足りないことがないよう注意しましょう。

2.葉酸は妊婦や赤ちゃんの健康に欠かせない栄養素です

葉酸は造血補助作用があるほか、細胞分裂の際、DNAの合成に関与する役割があるとされることでも知られています。また重要なのが神経管閉鎖障害を防ぐ役割です。

葉酸が不足しないよう、初期の段階では継続して摂取しましょう。

3.葉酸が足りないことで、いくつかのリスクがあります

葉酸が足りないと、葉酸には造血補助作用があるとされることから貧血のリスクが高くなります。また赤ちゃんの先天異常が出たり低体重となったりして、最悪流産してしまう可能性もあるのです。

できるだけ早くから葉酸を摂取し続けるよう気をつけましょう。

4.葉酸が足りなくなることにはいくつかの原因があります

妊娠中は葉酸の必要量が大きく増すことから、体内に溜めておけない葉酸は不足しがちです。また喫煙も、体内で葉酸を消費してしまう行為であるため、結果的に葉酸が不足する原因となります。

妊娠したら禁煙を心がけましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師