葉酸を飲む時期は、妊婦になるより前からです


妊婦にとって葉酸が必要になる時期には、大きく分けて3種類あります。すなわち妊娠前から妊娠初期、初期を過ぎてから出産するまで、そして出産後です。

つまり葉酸を飲む時期は妊娠前から出産後まで、ずっとということになります。葉酸はそれぞれの時期に応じて、必要な理由にも、必要な量にも違いがあります。

それぞれの違いを理解して、正しく葉酸を摂取することが大切です。

少なくとも妊娠1ヶ月前から葉酸を摂取しましょう

厚生労働省では、妊婦は妊娠1ヶ月以上前から、妊娠3ヶ月までの間、1日あたり食事から240µg、加えてサプリメントから400µgの葉酸の摂取を推奨しています。妊娠前から葉酸が必要なのかと疑問に思う人も多いかもしれません。

妊娠前から葉酸が必要な理由として、妊娠のごく初期の段階で葉酸が重要になるということが挙げられます。妊娠が発覚してからでは間に合わないことが多いため、あらかじめ妊娠前から葉酸を摂取しておくのです。

妊娠して6週までの間、母親のお腹の中では赤ちゃんの神経管が形成されていきます。しかし4~5週目になると、まれに神経管に先天異常が出て、神経管が本来とは違う形で塞がってしまい、時には死産や流産となるような重大な影響を及ぼすことがあるのです。

神経管閉鎖障害と呼びます。妊娠初期の段階で、葉酸を十分に摂取すると、この神経管閉鎖障害のリスクを5~7割も下げてくれることがわかっています。

もともと葉酸は普段の食事からでも300µg程度は摂取できていると言われている栄養素です。よほど乱れた食生活をしていなければ、妊娠前から葉酸入りのサプリメントを利用しておくだけで、必要十分の葉酸を摂取することができるでしょう。

妊娠3ヶ月目からは少し量を控えめにしましょう


妊娠3ヶ月目以降は、妊婦は1日に480µgの葉酸を摂取するのがよいと言われています。妊娠初期よりはやや控えめな量です。

サプリメントを利用して葉酸を摂取していた人は、一度ここでサプリメントの葉酸含有量を見直してみるとよいかもしれません。

妊娠3ヶ月を過ぎると、赤ちゃんの先天異常を防止するという葉酸の役割はなくなります。しかし葉酸はもともと、細胞が分裂する際に必要になる、DNAの合成に関わる栄養素です。

受精卵というたった1つの細胞から、人間の姿にまで成長していくにあたり、赤ちゃんは膨大な細胞分裂を繰り返します。当然、葉酸も相応に必要になっていくのです。

また葉酸には赤血球の生成など、造血作用もあることで知られています。

妊娠すると赤ちゃんに送るためにより多くの血液が必要となります。母親が貧血で倒れてしまわないように、また赤ちゃんに血液を通してたっぷりの栄養を送るために、葉酸は欠かせない栄養素なのです。

無事出産するまで、葉酸の摂取量には気を使いましょう。妊娠中、時期によって、あるいは個人差で食欲が増大する時期と、つわりや胃の圧迫などで食べられない時期が出てくることも十分あります。

サプリメントで調整し、いつでも必要十分な量が摂取できている状態にしましょう。

出産後も葉酸の摂取が役立ちます

妊娠初期には合わせて640µg、妊娠3ヶ月を過ぎたら480µgの葉酸が必要です。そしてこれに加えて、実は出産後にも340µgの葉酸摂取が推奨されています。

ちなみに一般人の葉酸摂取量の目安は240µgです。出産後にも葉酸は多く摂る必要がある、大きな理由として母乳が挙げられます。

母乳は実は母親の血液から出来ているのです。血液、ということでピンと来る人もいるのではないでしょうか。

葉酸は前述したとおり造血作用を持っているため、母乳をしっかり出すためには欠かせない栄養素なのです。つまり少なくとも出産後、赤ちゃんが離乳するまでは葉酸を意識して摂取しておいた方がよい、ということになります。

また葉酸は赤ちゃんのためだけでなく、母親の健康にも役立ちます。葉酸は出産後、体の回復を助けてくれたり、美肌に役立ったり、ホルモンバランスを整えたりしてくれると言われているのです。

体調を元に戻すためにも、積極的に葉酸を摂取しましょう。出産後に必要といわれる340µgほどであれば、サプリメントを利用しなくても、食事のコントロールで賄える量です。

しかし葉物野菜などの摂取が少ないという自覚があるのであれば、やはりサプリメントの利用がよいでしょう。

(まとめ)妊婦が葉酸を飲む時期はいつ頃から?

1.葉酸を飲む時期は、妊婦になるより前からです

妊婦が葉酸を飲む時期として適切なのは、妊娠前から妊娠初期、初期以降から出産まで、出産後の3つのタイミングです。妊娠前から出産後まで、変化しつつも葉酸は需要があります。

それぞれの時期に合わせた摂取をしましょう。

2.少なくとも妊娠1ヶ月前から葉酸を摂取しましょう

葉酸は妊娠初期において、赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぐ役目を果たしています。妊娠初期に間に合わせるため、妊娠前から妊娠3ヶ月目までは葉酸を多く摂取することが大切です。

サプリメントを活用しましょう。

3.妊娠3ヶ月目からは少し量を控えめにしましょう

妊娠3ヶ月目からは、葉酸は造血作用のために妊婦の貧血予防に役立ちます。また細胞分裂を手助けすることから胎児の成長に対しても役立つでしょう。

妊娠初期よりは控えめになるため、サプリメントの見直しをしておきましょう。

4.出産後も葉酸の摂取が役立ちます

出産後は、血液から作られる母乳のためにも葉酸が必要となります。また葉酸は産後の体の回復を助けてくれたり、美肌効果やホルモンバランスの調整効果などもあったりすると言われています。

通常時よりやや多めに摂取しておくとなにかと便利です。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師