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不妊治療では子宮卵管造影検査などを用いて卵管を調べます
不妊治療においては、卵管の中に造影剤を注入して卵管の状態を調べる「子宮卵管造影検査」というものがあります。
この検査によって卵管の閉塞や子宮の内側の状態などがわかるとされているのです。
卵管に問題があることが不妊症の原因である場合は多いと言われており、具体的なものとしては、子宮内膜症や卵管炎などが挙げられるでしょう。
卵管を調べる検査は不妊治療の初期に行うものです
卵管を調べる子宮卵管造影検査は、不妊治療の初期の段階で行います。
人によって不妊となっている原因は異なるため、それを明らかにするため最初に検査が必要だからです。
子宮卵管造影検査は、子宮口からカテーテルを挿入し、造影剤を卵管にいきわたるよう注入します。
卵管は長さが10cm、直径は最小で1mmです。
とても細い部分のため、途中で卵管が詰まっていて、排卵が困難になっていることがあります。
造影剤が入った部分は、レントゲン撮影で写ります。
写真に写っていない部分は造影剤が入っていない証拠で、卵管に詰まりがあると判断できるでしょう。
子宮卵管造影検査は、卵管の詰まりだけでなく、子宮の内側の形もわかる検査です。
卵管の閉塞はクラミジアの感染でおこることがあります。
近年はクラミジアの感染は増えているといわれているため、気になる方は血液検査で調べておきましょう。
採血でクラミジアの感染があるのか、または感染していたのかわかります。
ほかにも淋病や大腸菌などの病原菌の感染でも、卵管が閉塞してしまう可能性があるでしょう。
卵管をレントゲン撮影するときの被ばく量は少なく、検査の影響で身体問題が出てしまうリスクは少ないため、安心して検査を受けることができます。
卵管に問題がある不妊症は原因が幾つかあります
卵管に問題があるのは、不妊症の原因でもっとも多くなっています。
卵管はとてもデリケートで壊れやすく、なんらかの問題が生じていると卵管が狭くなったり詰まったりして、正常な機能が果たせなくなるのです。
卵巣から卵子を受け取ることができない場合や、排卵して受け取っても子宮までたどり着けないケースもあります。
卵管に問題がおこりやすいのは、卵管炎や子宮内膜症の問題です。
クラミジアや淋病、大腸菌などの微生物の影響で炎症をおこすと、卵管炎になります。
子宮内膜症も卵管に異常がおこる原因の1つです。
通常子宮内膜は子宮壁に増殖するのですが、子宮内膜症になっていると卵巣やその周り、子宮筋肉の中、ダグラス窩などで増殖してしまいます。
通常とは異なる部分で子宮内膜が増殖することで、炎症がおこり出血をおこして行き場のない血液が溜まっていくものです。
子宮内膜症があり卵巣内に血液が溜まっていくと、卵巣嚢胞となる可能性があります。
筋肉内に子宮内膜が形成され出血をおこすことによって子宮は硬く腫れていくでしょう。
卵管に子宮内膜症がおこれば、卵管の癒着を招く恐れがあります。
子宮内膜症がある方は、生理痛がひどくなってしまうのが特徴です。
無症状でまったく気が付かない場合もあるでしょう。
子宮卵管造影検査は痛くない検査が可能です
卵管の検査をすれば妊娠率が上がるかもしれないとわかっても、子宮卵管造影検査は痛みが強いということを聞き、検査を受けようという気持ちにならない方もいるでしょう。
子宮卵管造影検査は痛みを感じにくい検査方法もあるため、心配しなくても大丈夫です。
痛みが強くなりやすいのは、子宮卵管造影検査で水性造影剤を使った場合です。
水性造影剤は1日で検査が終わるメリットがある一方で、痛みが強くなりやすく、詳細までわかりにくいとされています。
痛みを感じにくいのは、油性の造影剤を用いたときです。
油性の造影剤は2日間の日程が必要となりますが、造影剤の通過を見ながら入れることができ、造影剤の量が少なくできます。
それに油性の造影剤のほうが、検査後の妊娠率が高いといわれているため、不妊の原因を解消したい方には、油性の造影剤がおすすめです。
痛みが出やすいのは卵管が閉塞しているときです。
卵管が通過していれば、痛みを感じることはありません。
もし卵管の一部に詰まりがあったとしても、モニターを確認しながら造影剤を注入していけば、ムリな圧力をかけることがなく痛みを感じることは少ないでしょう。
完全に閉塞している場合は痛みを伴うことがあるため、心配な方は検査の詳細を聞いてから受けるようにしましょう。
(まとめ)不妊治療で卵管の検査はどのように行われる?
不妊症の治療では「子宮卵管造影検査」と呼ばれる、卵管を調べる検査があります。
卵管に起きている症状を原因とした不妊症には、子宮内膜症や卵管炎などがあり、これらを判断することが検査によって可能になると言えるでしょう。
不妊治療の初期の段階で、卵管に詰まりがないか調べる子宮卵管造影検査をします。
長さ10cm直径1mmの卵管に造影剤が入り込むと、入った部分がレントゲンに写る仕組みです。
写っていない部分は詰まりがあるとわかります。
不妊症の原因で卵管の問題はもっとも多くなっています。
卵管の問題は微生物の感染でおこる卵管炎と、子宮内膜症の2つの原因が考えられるでしょう。
生理痛がひどい場合は、子宮内膜症をおこしている可能性があります。
子宮卵管造影検査は痛みがあるから受けたくないという方もいますが、痛みを伴いやすいのは水性造影剤のときです。
油性の造影剤の場合は、モニターを見ながらゆっくり注入できるため、痛みを感じにくくなっています。